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契約延長は叶わずも貫いたクラブ愛!バイエルンの“伝説”ミュラーは最後まで“彼らしい姿”で別れを告げた【現地発コラム】

カテゴリ:メガクラブ

中野吉之伴

2025年05月18日

「悲しくはない」ミュラーは最後に何を語った?

 ブンデスリーガ33節のボルシアMGはそんなミュラーがホームでプレーする最後の試合。そして7万5000人のファンの前で、最後まで彼らしく別れを告げた。

 アップでミュラーが現れると大きな拍手が沸き起こる。試合前にはゴール裏に大きなコレオ。感慨ぶかげにグラウンドへ現れる名手は、試合が始まるといつものように全力プレーをみせてくれる。

 試合後、キャプテンで長年の盟友マヌエル・ノイアーが神妙に話していた。

「今日もトーマスはピッチ上で何度もユニホームを汚して戦っていた。彼のためにコレオがあって、素晴らしい雰囲気があって、アリアンツ・アレーナでホームラストマッチとお別れセレモニーに素晴らしい状況が揃っていたのはある。でもそれは彼という選手、人間がこれからピッチやピッチ外でいなくなることを意味する。とても感情的になる日だった」
 
 あと少しでゴールとなるシーンがあった。スタジアムがざわつき、またミュラーコールが響き渡る。そして84分、ついにその時が訪れた。

 交代ボードに背番号25が掲げられる。万雷の拍手とチームメイトとの力強い祝福とともに、ミュラーはピッチを後にした。

 試合後のセレモニーでも、もちろん主役はミュラーだった。マイクを手にらしい話をたくさんし、チームメイトを笑わせ、ファンを楽しませる。一度は忘れた冗談も、あとで改めて披露した。VIP席ではミュラーの両親が愛息の姿を優しく見守っていた。

「僕はここで現代のグラディエーターであることを楽しんだ。悲しくはないよ。これから来ることを楽しみにしている」

 そう口にした後に「ここで体験してきたことほどのものとは巡り合えないかもしれないけど」と付け加えた。それほど密度が濃く、忘れがたく、心に残る日々だったのだ。

 現役引退後にバイエルンは間違いなくミュラーにポストを準備するだろう。レジェンドの帰還をファンは今から楽しみにしている。

取材・文●中野吉之伴

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