バルサのカンテラに加入する前、ヤマルは地元カタルーニャ州マタロにあるロカフォンダ地区のジョアン23世広場で午後を過ごした。「いつもずっと年上の選手たちとプレーしていた。そこで持ち前の才能を駆使しながら、自分を守る術を身に付けていった」と前出の関係者は証言する。

「恐怖はマタロの公園に置いてきた。もう何年も前のことだ」とヤマルは記者会見で豪語した。

 　以来、ヤマルのキャリアは順調に進んでいる。両親は自宅で彼を楽しむことはなくなったが、ピッチでの活躍に誇りを感じている。記者会見の時点で公式戦99試合に出場して、21ゴール・27アシストを記録。

　ヤマル自身も同じ認識を持っており、「僕と同じくらいの年齢で、バルサのようなクラブでこれほど多くの試合に出場した選手はほとんどいない。それこそが、僕が最も大事にしていることだ。このレベルで、バルサのようなクラブでプレーすることは、誰にでもできることではない」と誇らしげに語った。
 

　まさにその「誰にでも」という言葉が、ヤマルの振る舞いを反映している。それは彼のライフスタイルそのものだ。ヤマルは自分を「誰にでも」ではないと感じているだけでなく、そう感じたくないのだ。バルサのユニホームを着るプレッシャーを“ハグ”するだけではなく、それに挑む。

　そして、常にスポットライトを浴びる準備ができている彼は、レアル・マドリーとのコパ・デル・レイ決勝戦に向けて髪を染めた。チームスタッフにその理由を問われたヤマルは「これでボールが来たら、みんなが僕に出したパスであることに気づく。失敗できなくなった」と答えたという。

　ラミネは常にマックスの状態にある。興奮が足りないと感じた時は、無理にでも刺激を作り出す。だからチーム内には、自らを奮い立たせるためにあらゆる言い訳を探す彼を見て、驚く者はいない。

　過去にアドリアン・ラビオやファン・デル・ファールトを挑発した時と同じように、クラシコ前に自らスポットライトを求めた。周りからは平静さを保つようにアドバイスされたが、半分聞き流し、髪を染めた。

「ラミネは17歳だ」というクラブ内からの釘をさす声にもかかわらず、ヤマルはあくまで自分のスタイルを貫く。

「サッカーに年齢は関係ない。個のクオリティとメンタルが重要なスポーツだ。あとは準備にどれだけ費やすかだ。年齢はただの数字に過ぎない」

文●ファン・I・イリゴジェン（エル・パイス紙バルセロナ番）
翻訳●下村正幸

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