エムバペも無傷ではいられないだろう
今こそマドリーは敗北と最も相性が悪いクラブとしての本性を覗かせる時だ。それは怒りであり、その習性の1つが、犯人探しだ。カルロ・アンチェロッティが真っ先に疑われるのは間違いない。指揮官は随分前から、まだ小声ではあったが、批判に晒されていた。キリアン・エムバペも無傷ではいられないだろう。なぜなら我々はNO.1の選手を非難するのが大好きだからだ。
マドリーはホームでもアウェーでも力負けを喫した。もっともアーセナルにはむしろ感謝すべきだ。真実を教えてくれたことに対して、である。だから責任を分担するのなら、民主的に行うべきだ。不可能を可能にする能力にかまけた私も含めたファン、サッカーが出していたサインに耳を傾けず、バランスの取れたチーム編成を怠ったフロント、アンチェロッティの言葉を借りれば、コミットメントを失った選手たち、誰もが例外なく、だ。
気持ちだけでは逆転できないのと同じように、筋肉だけでは良いサッカーはできない。ペドリは格好の例だ。彼の体格は誰にも脅威を与えないが、ピッチに立つと家の中を整理するようにチームをまとめ上げる。サッカーには普遍的な真実があり、その1つが戦略的な思考力を持った選手は、チーム全体を動かすことができるというものだ。
マドリーはホームでもアウェーでも力負けを喫した。もっともアーセナルにはむしろ感謝すべきだ。真実を教えてくれたことに対して、である。だから責任を分担するのなら、民主的に行うべきだ。不可能を可能にする能力にかまけた私も含めたファン、サッカーが出していたサインに耳を傾けず、バランスの取れたチーム編成を怠ったフロント、アンチェロッティの言葉を借りれば、コミットメントを失った選手たち、誰もが例外なく、だ。
気持ちだけでは逆転できないのと同じように、筋肉だけでは良いサッカーはできない。ペドリは格好の例だ。彼の体格は誰にも脅威を与えないが、ピッチに立つと家の中を整理するようにチームをまとめ上げる。サッカーには普遍的な真実があり、その1つが戦略的な思考力を持った選手は、チーム全体を動かすことができるというものだ。
ペドリのような選手が試合にそれほど大きな影響を与えることはできるのだろうか?可能だ。クロースのような選手がチームからいなくなれば、残された選手は拭いきれない孤独感に襲われるのだろうか?ありうることだ。
もちろんフィジカルは重要だ。しかしその前提には、このスポーツが団体競技であるという理解が伴っていなければならない。サッカーとは試合の中で、異なる者同士が理解を深めながら、いかにチーム全体が調和の取れた動きをするかを突き詰めて勝ち負けを競う競技だからだ。
このように体格至上主義がサッカー界を席巻する中、最近ある名将が、選手は2つに分類されると語った。彼が設けた基準は快適に感じるか、不快に感じるかだ。何に対して?ボールに対して、だ。
アンチェロッティがマドリーで獲得した15個のタイトルが足りないというなら、別の監督を連れてくればいい。しかし、それでマドリーが抱えている問題の解決に繋がると考えているのであれば、甘いのではないだろうか。
文●ホルヘ・バルダーノ
翻訳●下村正幸
【著者プロフィール】
ホルヘ・バルダーノ/1955年10月4日、アルゼンチンのロス・パレハス生まれ。現役時代はストライカーとして活躍し、73年にニューウェルズでプロデビューを飾ると、75年にアラベスへ移籍。79~84年までプレーしたサラゴサでの活躍が認められ、84年にはレアル・マドリーへ入団。87年に現役を引退するまでプレーし、ラ・リーガ制覇とUEFAカップ優勝を2度ずつ成し遂げた。75年にデビューを飾ったアルゼンチン代表では、2度のW杯(82年と86年)に出場し、86年のメキシコ大会では優勝に貢献。現役引退後は、テネリフェ、マドリー、バレンシアの監督を歴任。その後はマドリーのSDや副会長を務めた。現在は、『エル・パイス』紙でコラムを執筆しているほか、解説者としても人気を博している。
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙に掲載されたバルダーノ氏のコラムを翻訳配信しています。
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もちろんフィジカルは重要だ。しかしその前提には、このスポーツが団体競技であるという理解が伴っていなければならない。サッカーとは試合の中で、異なる者同士が理解を深めながら、いかにチーム全体が調和の取れた動きをするかを突き詰めて勝ち負けを競う競技だからだ。
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文●ホルヘ・バルダーノ
翻訳●下村正幸
【著者プロフィール】
ホルヘ・バルダーノ/1955年10月4日、アルゼンチンのロス・パレハス生まれ。現役時代はストライカーとして活躍し、73年にニューウェルズでプロデビューを飾ると、75年にアラベスへ移籍。79~84年までプレーしたサラゴサでの活躍が認められ、84年にはレアル・マドリーへ入団。87年に現役を引退するまでプレーし、ラ・リーガ制覇とUEFAカップ優勝を2度ずつ成し遂げた。75年にデビューを飾ったアルゼンチン代表では、2度のW杯(82年と86年)に出場し、86年のメキシコ大会では優勝に貢献。現役引退後は、テネリフェ、マドリー、バレンシアの監督を歴任。その後はマドリーのSDや副会長を務めた。現在は、『エル・パイス』紙でコラムを執筆しているほか、解説者としても人気を博している。
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