モンテッラはミラン首脳陣と中国サイドが納得した理想の指揮官。
監督にもそれなりのネームバリューがほしい中国サイドは、その後フランク・デ・ブール(元アヤックス監督)をプッシュしたが、イタリア・サッカーを知らない監督の起用にはベルルスコーニもガッリアーニも消極的。そこに浮上したモンテッラは、ベルルスコーニ、ガッリアーニ、そして中国サイドという三者が揃って納得する名前だった。
モンテッラとの交渉が一気に進んだのは6月26日。大きなきっかけとなったのは、ベルルスコーニが続投にこだわり続けてきたブロッキが、セリエBのブレッシャからオファーを受けて合意し、留任の可能性を断念することを自ら名誉会長に伝えたことだった。ベルルスコーニはそれでも慰留したと言われるが、ブロッキの意思は固く、候補者リストから外れることになった。
この時点で、候補者はジャンパオロに絞られたようにも見えた。しかし、中国側の消極的な態度を受けて、水面下で別の可能性を探っていたガッリアーニは、先週半ば秘密裏にモンテッラと会談を持ち、サンプドリアにも接触してポジティブな感触を得る。
モンテッラ続投を打ち出していたサンプドリアのマッシモ・フェレーロ会長も、ジャンパオロ(またはステーファノ・ピオーリ)を後釜に据える可能性が生まれたことで、態度を軟化させていた。
こうした流れの中でモンテッラ招聘の可能性が生まれ、中国サイドもそれを前向きに受け入れたことで、話は一気に進展。6月27日には契約内容や補強計画についての具体的な話し合いが持たれ、サンプドリアともミランが違約金を支払うことで合意。6月28日の発表に至ったというわけだ。
ミランはモンテッラという選択について「そのサッカーのコンセプトが新しいミランの土台となり、ポジティブで実り多き結果をもたらすと確信している」としている。攻撃的なスタイルにこだわりを持ち「常にボールとピッチを支配する美しいサッカー」と結果の両立を要求するベルルスコーニ会長にとっては、申し分のない人選である。
ガッリアーニ副会長にとってもそれは同じ。実際、フィリッポ・インザーギを監督に据えた2年前の夏には、当時フィオレンティーナを率いていたモンテッラと個人合意に達しながら、500万ユーロ(約7億円)という高額の違約金を要求したフィオレンティーナのアンドレア・デッラ・ヴァッレ会長に阻まれて、招聘を断念した経緯がある。
つまり、モンテッラは「3年越しの恋人」だったというわけだ。
おそらく来週中には株式の80パーセントを買収して経営権を手に入れる可能性が高いと見られる中国サイドにとっても、ネームバリューと実績を兼備したモンテッラは、十分説得力のある選択肢だったと言える。
文:片野道郎
モンテッラとの交渉が一気に進んだのは6月26日。大きなきっかけとなったのは、ベルルスコーニが続投にこだわり続けてきたブロッキが、セリエBのブレッシャからオファーを受けて合意し、留任の可能性を断念することを自ら名誉会長に伝えたことだった。ベルルスコーニはそれでも慰留したと言われるが、ブロッキの意思は固く、候補者リストから外れることになった。
この時点で、候補者はジャンパオロに絞られたようにも見えた。しかし、中国側の消極的な態度を受けて、水面下で別の可能性を探っていたガッリアーニは、先週半ば秘密裏にモンテッラと会談を持ち、サンプドリアにも接触してポジティブな感触を得る。
モンテッラ続投を打ち出していたサンプドリアのマッシモ・フェレーロ会長も、ジャンパオロ(またはステーファノ・ピオーリ)を後釜に据える可能性が生まれたことで、態度を軟化させていた。
こうした流れの中でモンテッラ招聘の可能性が生まれ、中国サイドもそれを前向きに受け入れたことで、話は一気に進展。6月27日には契約内容や補強計画についての具体的な話し合いが持たれ、サンプドリアともミランが違約金を支払うことで合意。6月28日の発表に至ったというわけだ。
ミランはモンテッラという選択について「そのサッカーのコンセプトが新しいミランの土台となり、ポジティブで実り多き結果をもたらすと確信している」としている。攻撃的なスタイルにこだわりを持ち「常にボールとピッチを支配する美しいサッカー」と結果の両立を要求するベルルスコーニ会長にとっては、申し分のない人選である。
ガッリアーニ副会長にとってもそれは同じ。実際、フィリッポ・インザーギを監督に据えた2年前の夏には、当時フィオレンティーナを率いていたモンテッラと個人合意に達しながら、500万ユーロ(約7億円)という高額の違約金を要求したフィオレンティーナのアンドレア・デッラ・ヴァッレ会長に阻まれて、招聘を断念した経緯がある。
つまり、モンテッラは「3年越しの恋人」だったというわけだ。
おそらく来週中には株式の80パーセントを買収して経営権を手に入れる可能性が高いと見られる中国サイドにとっても、ネームバリューと実績を兼備したモンテッラは、十分説得力のある選択肢だったと言える。
文:片野道郎