決め手は手倉森監督からの直電。興梠が明かす、オーバーエイジ決断までの心の揺れ動き

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2016年06月28日

一度「やる」と決めたからには、覚悟はできた。「全力で求められる役割をする」。

「こんな俺で大丈夫かな」と、興梠が自分自身のなかに抱えていた“迷い”も今回の2点で吹き飛ばした。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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「それから徐々に色々な人たちと話をしていくうちに、(五輪に)行ける人は限られるし、責任を持ってやってみたいと思っていった」
 
「ただ、オーバーエイジは即戦力。その立場に見合ったプレーをしないといけない。それだけに、調子が悪いなかで声をかけていただき、『こんな俺で大丈夫なのかな?』と思っていたところはあった」
 
 鹿島、G大阪、広島に3連敗。結果がついてこず、オーバーエイジについても踏み切れない。それでもチームメイトからは「行ってこいよ」と背中を押された。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督からも「自信があるなら行っていいぞ」と言われ、反対はされなかった。

 FC東京戦ではゴールこそなかったが2ゴールをアシストし、チームも興梠も不調を脱するキッカケを掴めた。そして試合翌日、日本協会と手倉森監督に正式にオーバーエイジ招集に応じる決断をしたと伝え、クラブを通じて正式発表する。
 
「こんな気持ちのままではやっていけないと思い、『行く』と決断をしたあとすぐ発表しました。
 
 それが神戸戦の結果にもつながったのかなと思う。チームメイトには感謝しています。チームには迷惑をかけるので、行くまでに、しっかり結果を残したい。やると決めたからには、全力で、求められる役割をするだけです」
  
 その経緯を振り返ると、手倉森監督からの直電が“分岐点”になっていたことが分かる。指揮官の熱情が、興梠の頑なな心を一変させたのだ――。

 リオ五輪の日本代表メンバーは、7月1日に正式に発表される。その後、7月21日からブラジルでの事前合宿に突入し、8月4日のリオ五輪グループステージ初戦のナイジェリア戦(会場:マナウス)に臨む。
 
 そのため、J1第2ステージの5節(7/23)の鹿島戦から9節(8/20)の川崎戦まで、最大5試合を欠場する。浦和からは他に遠藤航のメンバー入りが決定的。関根貴大も候補者のひとりだ。興梠を含め、最大3人が不在になる可能性がある。
 
 興梠は誓う。一度決めたからには覚悟はできた。

「全力で、求められることをやる。ゴールを狙いながら、みんなの良さを引き出したい」
 
 周囲を生かしながら、自らも生きる。それが興梠のプレーの真骨頂であり、その点が手倉森監督にも評価された。リオ五輪のピッチに立つイメージは、膨らみつつある。


取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
 
 
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