日本で“ミトマ・フィーバー”も肌で感じることができた。

　サッカーストア『KAMO』で行なわれたイベントには、三笘とジェームズ・ミルナー、ジャック・ヒンシェルウッド、ファクンド・ブオナノッテの４選手が参加。私は取材に出かけた。

　まず４人が登場すると、まるでビートルズが登場したかのように、彼らは盛大な拍手と歓声に包まれた。イベント後には写真撮影会も行なわれたが、三笘とのフォトセッションの際に、ある女性が興奮のあまりパニックに陥ってしまった。仲介役に入ったのはミルナー。38歳（現在は39歳！）のベテランらしくその場を取り仕切り、彼女のスマートフォンを手に持ち、臨時カメラマンとして助けてあげていた。

　三笘の子ども好きの一面も見えた。秩父宮スタジアムで行なわれたブライトンの公開トレーニングセッションには、約3500人ものファンが集まった。三笘は、子どもたちからのプレゼントを受け取る際に優しい笑顔を見せていた。公開練習後にはその三笘がファンに向かってスピーチし、温かい拍手を受けていたのも印象的だった。

　世界最高峰のプレミアリーグで三笘が活躍しているからこそ、昨夏のプレシーズンツアーは実現した。三笘の登場に沸く日本のファンの姿を見ると、凱旋試合のような位置づけのようにも感じられた。
 

　クラブ側は、このプレシーズンツアーで経済効果も期待していた。実際に今回のツアーには、現場以外のスタッフ、つまり営業を担当する社員も帯同した。現場スタッフを合わせて、その数は総勢60名。スポンサーのナイキやグーグル、アメリカン・エキスプレスのイベントがあったり、公開トレーニングがあったりと、多くの商業的価値を見出したツアーでもあった。

　今後、ひょっとしたら三笘はビッグクラブに移籍することになるかもしれないが、そうであっても日本はブライトンにとって重要なマーケットであり続けるだろう。

　ここで、エピソードをひとつ紹介しておきたい。三笘は、東京ヴェルディとの一戦でキャプテンバンドを巻いた。主将のルイス・ダンクが欠場したので、ミルナーやダニー・ウェルベックが務めるはずだったが、三笘にゲームキャプテンが託されたのである。

　単純に、ファンサービスの一環だったのか？ いや、そうではない。ヒュルツェラー監督に「キャプテン・ミトマ」を進言したのは、ベテランのミルナーだった。日本で行なわれた全てのイベントに出席した三笘は、プレシーズンで多忙を極めた。ミルナーは「ブライトンの顔」として走り回る三笘の姿に感銘を受け、監督に「キャプテン・ミトマ」を提案したという。もちろん、ヒュルツェラー監督はすぐに承諾した。ミルナーは三笘の人柄を知っているからこそ、提言したのである。

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