今年1月、24歳の誕生日を迎えた小久保は初めて、欧州1部リーグでプレーしている。リーグ戦で25試合連続出場中の彼は、今季のここまでをどう振り返るのか。

「ベンフィカで５シーズンやって、トップチームでなかなか試合に出れず苦い思いをしてきたので、今の自分はSTVVでサッカーしていて、すごく楽しいです。チーム状況はいいものではないですけれど、これを逆に楽しみながらしっかりチームに貢献していきたい」

　チームの調子が上がらない中、昨年11月にはクラブ・ブルージュとのアウェーゲームで0-7の惨敗を喫した。GKとして、こういうスコアはメンタルに来るのでは？

「入ってしまうものは入ってしまうので、まずは切り替えて『失点したら次』『ミスしたら次』と、次のことを心がけています。そこは今、自分の中で強くなってきています。このシーズンが終わったら、そのこと（0-7のことなど）を考えようと思っているので、自分の中で０-７は無かったことになっている。うまいこと、自分で忘れさせているところもあるんですが、次に次に、まずは次の相手というところです」

「このシーズンが終わったら」ということは、オフに映像をチェックし直すということか？

「そうですね。自分はあまりメンタルが強いタイプじゃないので、自分のミスを見続けると（気持ちが）下がっていくところがある。まずは良いものを（振り返りたい）。こうやって何十試合も出るのは初めてですし、その中でどんどん経験を積み上げていけたら良いですね。まずは自分の短所を知りながら、自分にアジャストしていけたらいいなと思ってます」
 

　今季、良かったと思える試合を尋ねてみた。

「今日の試合もそうですし、この前ホームでやったクラブ・ブルージュ戦は自分の中ですごく集中できていて、良いセーブがあったり、ビルドアップが良かったりした。今日の試合と、この前のブルージュ戦が自分の中では良かったと思います」

　最近の試合を２つ選んだということは、自身でも成長の手応えを感じているという証拠だ。しかも、そのうち1試合は4か月前、0-7の屈辱を味わった相手なのだ。

「前半戦から比べると自信が付いてきたというところがある。判断などがスマートに（賢く）、迷いなくプレーできていると思います。ミスもどんどん減ってきているので、そこはすごく良いと思います」

　残留争いが佳境を迎える中、自信を付けた193センチの守護神の存在はSTVVにとって心強いばかりだ。

取材・文●中田 徹

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