「負のスパイラルに陥っているようだ」ブラジルの英雄ジーコが現在のイタリアサッカー界に苦言。「格下相手に敗れる姿を見るのは本当に悲しいよ」【インタビュー後編】
カテゴリ:ワールド
2025年03月01日
新しい哲学を見出し、ポジティブな変化が必要だ
——最近のセリエAをどう見ていますか?
ここ数年のイタリアサッカーには少し失望している。最近はセリエAの結果を日々追いかけることも少なくなってきた。イタリアサッカーの質の低下は、代表チームが2大会連続でワールドカップ出場を逃している事実からも窺える。
この20年間、イタリアサッカー界は負のスパイラルに陥っているようだ。かつて一世を風靡したイタリアのビッグクラブが、格下相手に敗れる姿を見るのは本当に悲しいよ。クラブが金儲けを目的とする資産家に利用され、外国資本となったクラブのほとんどは良い結果を得られていない。
イタリア人のスター選手が、スペインやイングランドのクラブに引き抜かれてしまう現状は悲しい限りだ。その影響で、最近は私ももっぱらプレミアリーグを見ることが増えている。イングランドのサッカーは、ここ数年で大きく変化し、正直イタリアよりもアグレッシブで観ていて面白い。
セリエAは時間をかけてリーグを近代化し、よりダイナミックな基盤を作ることが重要だ。かつて古臭いと言われていたイングランドのフットボールがそうであったように、新しい哲学を見出し、ポジティブに変えていく必要がある。
ここ数年のイタリアサッカーには少し失望している。最近はセリエAの結果を日々追いかけることも少なくなってきた。イタリアサッカーの質の低下は、代表チームが2大会連続でワールドカップ出場を逃している事実からも窺える。
この20年間、イタリアサッカー界は負のスパイラルに陥っているようだ。かつて一世を風靡したイタリアのビッグクラブが、格下相手に敗れる姿を見るのは本当に悲しいよ。クラブが金儲けを目的とする資産家に利用され、外国資本となったクラブのほとんどは良い結果を得られていない。
イタリア人のスター選手が、スペインやイングランドのクラブに引き抜かれてしまう現状は悲しい限りだ。その影響で、最近は私ももっぱらプレミアリーグを見ることが増えている。イングランドのサッカーは、ここ数年で大きく変化し、正直イタリアよりもアグレッシブで観ていて面白い。
セリエAは時間をかけてリーグを近代化し、よりダイナミックな基盤を作ることが重要だ。かつて古臭いと言われていたイングランドのフットボールがそうであったように、新しい哲学を見出し、ポジティブに変えていく必要がある。
——最後に訊かせてください。セリエAはあなたに何を与えてくれましたか?
イタリアは私を選手としても、監督としても大きく成長させてくれた。私にとっては非常に重要で幸せな時間だった。ヨーロッパサッカーの世界に足を踏み入れたことで、ブラジルでは学ぶことができなかったディテールも学べ、それが日本に行ってからも役に立った。
というのも、私が日本に行った時、Jリーグには多くのヨーロッパ人選手がいて、彼らと対峙して最高の結果を得るには彼らのメンタリティーを理解することが重要だった。80~90年代のセリエAは、間違いなく現代サッカー史で最もドラマチックなリーグだった。
インテル、ミラン、ユーベのようなメガクラブが登場し、ベルルスコーニ、アニェッリ・ファミリー、モラッティをはじめとするクラブの会長たちの資金力が、80年代に空前の「スーパーリーグ」を作り上げた。現在のラ・リーガやプレミアリーグの始祖はセリエAであり、彼らはイタリアから多くのことを学んだ。
世界最高の外国人を招き入れ、世界最高のインフラを整えたのはイタリアだった。セリエAの黄金期を生きた人々は唯一無二の素晴らしい経験をした。マラドーナ、プラティニ、ファン・バステン、ロナウド、ファルカン、バティストゥータ、マテウス……。他にも多くのスターたちが一堂に会し、日々競い合うことができた。私もそのひとりであったことを誇りに思う。
※『ワールドサッカーダイジェスト』2025年2月6日号より転載・加筆。
インタビュー●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子
【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/1963年8月29日生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。ジャーナリストとして中東戦争やユーゴスラビア紛争などを現地取材した後、社会学としてサッカーを研究。スポーツジャーナリストに転身する。8か国語を操る語学力を駆使し、世界中を飛び回って現場を取材。多数のメディアで活躍する。FIFAの広報担当なども務め、ジーコやカフー、ドゥンガなどとの親交も厚い。スポーツ運営学、心理学の教授として大学で教鞭も執っている。
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イタリアは私を選手としても、監督としても大きく成長させてくれた。私にとっては非常に重要で幸せな時間だった。ヨーロッパサッカーの世界に足を踏み入れたことで、ブラジルでは学ぶことができなかったディテールも学べ、それが日本に行ってからも役に立った。
というのも、私が日本に行った時、Jリーグには多くのヨーロッパ人選手がいて、彼らと対峙して最高の結果を得るには彼らのメンタリティーを理解することが重要だった。80~90年代のセリエAは、間違いなく現代サッカー史で最もドラマチックなリーグだった。
インテル、ミラン、ユーベのようなメガクラブが登場し、ベルルスコーニ、アニェッリ・ファミリー、モラッティをはじめとするクラブの会長たちの資金力が、80年代に空前の「スーパーリーグ」を作り上げた。現在のラ・リーガやプレミアリーグの始祖はセリエAであり、彼らはイタリアから多くのことを学んだ。
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※『ワールドサッカーダイジェスト』2025年2月6日号より転載・加筆。
インタビュー●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子
【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/1963年8月29日生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。ジャーナリストとして中東戦争やユーゴスラビア紛争などを現地取材した後、社会学としてサッカーを研究。スポーツジャーナリストに転身する。8か国語を操る語学力を駆使し、世界中を飛び回って現場を取材。多数のメディアで活躍する。FIFAの広報担当なども務め、ジーコやカフー、ドゥンガなどとの親交も厚い。スポーツ運営学、心理学の教授として大学で教鞭も執っている。
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