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「負のスパイラルに陥っているようだ」ブラジルの英雄ジーコが現在のイタリアサッカー界に苦言。「格下相手に敗れる姿を見るのは本当に悲しいよ」【インタビュー後編】

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2025年03月01日

サン・シーロで受けた拍手で高揚感に包まれた

このマラドーナ(左)を筆頭にプラティニ、ファン・バステンなど、80年代のセリエAには世界最高峰の選手が集結し、日々競い合っていた。(C)Getty Images

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 現役最後に鹿島アントラーズでプレーしたジーコは、「セリエAでプレーした経験が日本でも役だった」と語るなど、イタリアでのプレーがその後のキャリアに大きく役立ったという。一方、現在のセリエAに対しては思うこともたくさんあるようだ。【インタビュー後編】

―――◆―――◆―――

——イタリアでプレーした2年間でもっとも記憶に残っているゲームは?

 83-84シーズンのホームのローマ戦かな(83年11月6日)。ローマは前年王者であり、ウディネーゼからすると40年以上も勝ったことのない相手だった。そして、ファルカン、トニーニョ・セレーゾ、ブルーノ・コンティ、アンチェロッティ、ディ・バルトロメイ……。錚々たる顔ぶれでローマはウディネに乗り込んできた。

 誰もが私たちに望みはないと思っていたはずだ。しかし、非常に厳しい戦いの末、満員の観衆の期待をいい意味で裏切り、1-0の勝利を収めたんだ。そして、その唯一のゴールを決めたのが私だった。ウディネーゼのサポーターは熱狂し、地元メディアは何週間もこの勝利について報じ続けた。

 イタリア国営放送『RAI』の名物スポーツ番組『ドメニカ・スポルティーバ』は、この試合をセリエA史上最も記憶に残る試合として紹介した。もう一つ忘れられないのが、同じシーズンのサン・シーロでのミラン戦だ(84年1月8日)。ミランもバレージ、タソッティ、フィリッポ・ガッリ、エバーニ、ダミアーニと、ローマに劣らないスターを揃えていた。

 もちろん、下馬評は完全にミランが優勢だったけど、私はこの試合でも2ゴールを奪い、見事3-3のドローに持ち込むことに成功したんだ。敵地のミラニスタも私のプレーに拍手を送ってくれた。

 サン・シーロで、アウェーの選手が称賛を受けるということは、ミラノの『スカラ座』で歌手や音楽家が称賛を受けるのと同じくらい価値があると聞いていたからね、何とも言えない高揚感に包まれたよ。

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——ウディネーゼを除いて当時のセリエAでプレーしてみたかったチームや、お気に入りのチームはありましたか?

 とくになかったよ。当時のセリエAのクラブはどこも魅力的だったから。すべてのチームが最高レベルで、ピッチのどこを見ても代表クラスの選手ばかりだった。私にはクラブを選ぶうえで大切にしていることが2つある。

 1つはそのチームが明確な目標を持っているか。もうひとつは自身が本当に必要とされているかだ。ウディネーゼはその両方を満たしていた。上位進出という高い目標を持っていたし、その目標を実現できる人材も揃っていた。

 それが確信に変わったのがウディネーゼ入団後の最初の試合だった。それは、マドリーとの親善試合で、ウディネーゼの経営陣の中には、クラブの知名度を上げるうえで、クラブ史上最も重要な試合だと考えている者もいた。

 そして、私たちはその期待に応えて見事に2-1で勝利し、私自身もイタリアでの初ゴールを決めた。試合後、同じくウディネーゼに移籍してきたばかりのチームメイトが、ロッカールームで私にこう言ったのを覚えている。

「マドリーに勝てたわけだし、このチームはどんな相手にも勝利できる。いまのウディネーゼならきっとスクデットも目指せる」と。

——セリエAでもっとも手強いと感じたディフェンダーは?

 ひとりを挙げるのは難しいな。セリエAはタフなディフェンダーが多くて、本当に苦労させられた。どんな試合でも優れたディフェンダーが私に自由を与えないようにしていたからね。ただ、そんな彼らを向こうに回して、私はセリエA58試合で30ゴールを決めることができた。

 これは私の誇りだ。当時の主流はマンツーマンだったから、どの試合でも90分間誰かしらが私に張り付いていた。しかし、これはチャンスでもあった。裏を返せば、偉大なディフェンダーたちは他に守ることができないわけだからね。

 相手が私に張り付くことで、チームメイトはフリーになるんだ。私がすべきことはひとつ。ボールを絶対に奪われないこと。それはうまくやれていたと思うよ。
 
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