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苦しかった時にかけられたケンゴさんの言葉。自分を見失いかけた川崎の脇坂泰斗が新シーズンへ抱える覚悟

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年02月14日

「これぐらいのことも俺はできないのか」。苦しい日々を乗り越えて

昨年末には中村憲剛さんの引退試合にも参加。貴重な経験もした。(C)SOCCER DIGEST

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 脇坂と言えば、川崎で培った技術力が何よりの武器で、冷静沈着に相手を、そして味方を見ることで周囲の逆を突き、優位性を生み出してきた。そんな脇坂がより本能的に戦う選手へ進化しようとしている。その背景には、いくつのかの要因もあった。

「まず昨シーズン終盤に、怪我(人生初の肉離れ)をして、外からチームを分析したり、上から試合や練習を見たりする期間を持てました。そこで出た答えは改めて川崎には優勝できるメンバーがいるということ。本当に力のある選手たちがいますから。でもタイトルを掴むために何が足りないのか考えた時に、雰囲気が静かだったという面がありました。それはもちろん目の前のことに集中している面があります。

 ただ、海外や日本代表の試合を見ていたりしても、そこで終わらせちゃいけないという想いになる。一つひとつのプレーを自分たちで高め合い、求め合う。そういうエネルギーがより溢れても良いのかなと。今はJリーグでもいろんな戦い方があって、でも僕らは端的にゴールに迫るのではなく、相手を見て、味方を見て、誰もがつながって相手を圧倒するようなゴールを目指している。それはすごく難しいことだと思います。だからこそ、互いに要求しあい、意志を擦り合わせなくてはいけないと思います。

 それに年末の(Jリーグ)アウォーズに出席させてもらい、優勝した神戸の選手たちの姿を見たり、(神戸の宮代)大聖らとも話しましたが、僕の技術力を認めてくれたのは嬉しかったのですが、自分に足りないところがそこにはあるなって。(MVPに輝いた)ヨッチ(武藤嘉紀)くんもスピーチで言っていましたよね。タイトルを獲るためにすべてを懸けてきたと。僕も改めてそれくらいの想いでやりたいなと」
 2025年、脇坂は再びキャプテンの大役を務めながら、自身のさらなる進化を誓う。リーダーとして、主軸選手として、求められる役割はかなり多い。傍から見れば心配になるほど、チームの行く末は脇坂の双肩にかかっている。それでもキャプテン1年目の経験、そして頼れる先輩、仲間たちがいることが、彼の助けになるに違いない。

「去年の夏頃だったかな、ケンゴ(中村憲剛)さんにも心配してもらったんですよ。僕の顔色や気持ちを察してくれたうえで『過負荷だな。ヤスト大丈夫かって?』。ちょうどその頃、『自分のキャパを増やさないといけない』『自分の力が足りてない』『これぐらいのことも俺はできないのか』と、周りがあまり見えなくなっていた時だと思うんですよね。

 でもケンゴさんにそう気に掛けてもらい、分かってくれている人がいるんだって、救われた面がありました。そこから少し視野が広がって、自分の頭のなかだけで考えすぎるのもダメなんだなと。一方で、僕はすごく負けず嫌いだから、ケンゴさんに心配してもらうくらい、上手くできてない自分にも、凄く腹が立って、やってやろうという力も沸いてきた面がありました。

 だから1年キャプテンをやってみて反省もたくさんありますが、経験できたことはすごく多い。結果にはつなげられなかったですが、得たモノはあるので、それを今シーズンにぶつけたいですね。

 それにさっきも話した通り、川崎には良い先輩たち、良い後輩たちが本当にたくさんいる。だから頼れる部分はどんどん頼ろうとも思っています。そこに今年の川崎の鍵があるんじゃないかって考えているんです。シゲさんもジョギングひとつ取ってもしっかり固まって走ろうとか、キャンプの紅白戦でも1本目、2本目に出た選手も、すべての試合が終わるまで、しっかり残って、最後に全員で締めるとか、元からありましたが、そういった団結力に今年の川崎が上に行くためのヒントが隠れているんじゃないかって僕は思うんです。

 それは人任せになるってことじゃなく、一人ひとりがチームのためにやろうっていう姿勢が掛け算になって強まり、もちろん競争もあって、良い方向に向かうんじゃないかなと。だから頼って助けてもらって、一方で僕がみんなを助けて、なおかつ強く要求し合う。私生活にしたって個々が高い意識を持つ。そうやって刺激し合うからこそ、真の信頼関係は生まれるのかなと思います」

 その輪の中心で脇坂がより決定的な仕事を果たせば、川崎は新たなフェーズに入ることができるのだろう。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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