「移籍したら?」佐藤寿人が “159点目”に込めた3つの想い。男泣きの背景とは?

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2016年06月19日

「息子が『移籍をすればいいんじゃないか』と言っていたことがあったが……」

J1通算159ゴール目は、特別な意味を持つものとなった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 期待に応えたエースに、スタンドから再び惜しみない拍手が改めて送られる。佐藤は深く息をして、あいさつをする。
 
「有難うございます……」
 
 佐藤は声を詰まらせ、目じりに浮かんだ涙を拭った。男泣きをしていた――。

 実に14試合ぶりのゴール。サポーターの期待に応えられず、家族には辛い想いをさせてきた。そんな気持ちをサポーターの前で話すと、インタビュアーの女性も声を震わせ、もらい泣きをしそうになっていた。
 
「とにかく皆さんのため、家族のために頑張ります」
 
 エースは胸を張って、声援に応えた。
 
 そのあと、ゴール裏で拡声器を持ったエースは、涙の理由のひとつである息子とのエピソードを明かした。
 
「ベンチにいる自分を見ていた中学1年の息子が、『移籍をすればいいんじゃないか』と言っていたことがあった。でも、それは絶対にないと言った。悔しい想いをしている家族の気持ちに応えたかった」
 
 さらに、ロッカールームで着替えたあとにメディアの取材に応じた際、一つひとつの試合中の出来事についてより具体的に振り返っていった。
 
 ピッチに立つ際に触発されたのが、青山の負傷によりスクランブル出場していたボランチ丸谷拓也の奮闘ぶりだった。
 
「(ベンチスタートが続いたがが)僕は常にいつでも試合に行ける準備をしていた。それに今日は途中から入ったマル(丸谷)がスライディングタックルでボールを奪ったり、持ち味を発揮していて、『俺ももっとやらなければいけない』と刺激を受けた」
 
 そして涙を浮かべたことについて、家族の悔しさをより具体的に説明していった。
 
「僕自身は好きなサッカーを毎日できているので、嫌な想いは一切していない。でも、家族は僕この状況を心配し、息子はストレスを溜めていたようだった。子ども達は僕が試合に出ていないので、あまり面白くなさそうにしていたのは事実。でも今日は上の子はカープの試合を観てから(鈴木の3ランホームランで、カープが4-3のサヨナラ勝ち)、スタジアムに来てくれていた。その目の前でゴールを決められたのは、素直に嬉しかった」
 
 
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