【岩本輝雄のオタクも納得!】欧州組が形成した“背骨”が7-2というスコアを生んだ

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2016年06月04日

「岡崎のプレッシングがブルガリアの選択肢を激減させていた」

香川は貫録の2ゴール。でも、ドルトムントで見せるプレーを考えればもっともっとパフォーマンスは上がるはずだ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 残りのふたり、岡崎と香川はブルガリア戦で出場した選手のなかでもレベルが違う。特に岡崎は貫録がある。試合開始4分でゴールをいきなり奪って、相手の出鼻と挫くとともに度肝を抜いてみせた。先制点が大量ゴールの呼び水となったのは疑いようのない事実だ。
 
 彼は相手DFを背負ってのプレーがとにかく上手い。キープして味方の上がりを待てるし、ワンタッチでの落としもできる。そこに相手の背後に抜け出す動きが秀逸なんだから、対峙する相手としては厄介極まりない存在になる。クラブの躍進も彼のプレーレベルを引き上げる大きな要因になった。とにかく、堂々と自信たっぷりにピッチに立っている。
 
 先制点のシーンを振り返れば、相手DFと常に駆け引きしながら裏のスペースに狙いを定めているのが分かる。そして、柏木にボールが入ってクロスが上がる時に相手の背後に一回引く。どうしてもDFはボールホルダーに目がいっちゃうから、その瞬間にスッと離れて、サッと飛び出した。
 
 言わせてもらうけど、あのクロスに合わせるのは見た目ほど易しくない。得点感覚の素晴らしさと飛び出しの良さに目が行きがちで、いとも簡単に決めているように見える。それは世界のトッププレーヤーにも同じことが言えるんだ。難しいプレーをスマートにこなしてしまう。今の岡崎は、その感覚に似ていると思う。
 
 あとは、前線からのプレッシング。上手にパスコースを消すことで、岡崎自身がボールを奪えなくても相手の選択肢を激減させている。大きく蹴るか、近くの味方につなぐか。ブルガリアは後者を選んだわけだけど、限定されているから、日本代表は狙いを絞ってアタックを掛けられる。とにかく、ポジショニングがとても良い。
 
 香川に関しては、やっぱりドルトムントでの輝きを見ているから、少し物足りない印象を持った。得点を取りはしたが、クラブの時よりもボールを触る回数が圧倒的に少ない。パスを受けて、叩いて、スペースに入り込んで、勝負してってところまではいかない。香川がタイミング良く動いていても、「ここ!」という時にみんなが合わせられていない。プレースピードの違いだろう。

 ただ、そういう状態での2ゴールは見事のひと言。なにより、ファーストタッチが群を抜いている。狭い場所でも簡単に前を向いてしまう。次のプレーに移るために最適な位置、相手が奪えないギリギリのところにボールを置けるから、動作がスムーズだし、トラップ一発で相手の脅威になれる。
 
 個人的には、ロシア・ワールドカップのアジア最終予選に対する危機感は薄くなった。2次予選が終わった時には“嫌な予感”もあったが、岡崎と香川の別格のパフォーマンス、そして吉田と長谷部の安定感が、そうさせたんだと思う。ただ、あえて注文をつけるのならば、国内組にもっともっとアピールして欲しいかな。

5月26日発売号のサッカーダイジェストは、オーバーエイジ特集。果たして、リオ五輪のオーバーエイジ候補は誰なのか? 本命、対抗、大穴で予想してみました。またU-23日本代表企画では「残り15枠を巡るサバイバル」に迫り、6月復帰予定の室屋選手(FC東京)にインタビュー取材。クラブダイジェストでは、J2で好調の札幌を取り上げています。

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