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じれったさを感じたオーストラリア戦。森保ジャパンに見られた後半の2つの大きな“変更点”は? ひとつは悲劇的な失点を招いた

カテゴリ:日本代表

清水英斗

2024年10月16日

なぜ同点に追いつけた?

途中出場で同点ゴールを演出した中村。(C)SOCCER DIGEST

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 後半、日本は動いた。大きな変更点は2つ見られた。

 ひとつは守田と田中碧、ボランチの1枚を左サイドへ広げ、左サイドバック化させること。後半の序盤は守田が、途中からは田中がその役割を担った。左ウイングの三笘、左シャドーの南野に、守田や田中が加わり、3人の三角形でサイドを攻める。4バック時は普通にやっている攻撃型だ。

 これは効果的な変更だった。シャドーが裏へ走りやすくなり、その動きに釣られて空いた中盤で、守田や田中がフリーでボールを持つ場面が多く、前半よりも深く押し込むことができた。

 76分に同点に追いついた場面も、その恩恵を受けたものだ。左シャドーに移った三笘が裏へ走り、田中がサポートして配球し、途中から左ウイングに入った中村敬斗がドリブルで仕掛けた。三笘のブロックと中村のドリブル突破により、それまで中々陥れられなかったゴール脇を深くえぐり、オウンゴールを誘発した。ボランチの立ち位置の修正が、後半の攻撃をスムーズに変えたのは明らかだ。

 ただ一方で、もうひとつの変更点は、悲劇を招いた。

 前半の日本は相手GKまではプレスをかけず、敵陣でハイブロックを構え、ひとつボールが出た先に襲いかかるプレッシングを実践した。親善試合のドイツ戦をはじめ、カタール・ワールドカップ以降の日本が主に行なってきた守備でもある。オーストラリア戦も同様だった。

 ところが、前半のオーストラリアはGKがボールを持つと、のらりくらりと時間を使っていた。0-0で後半を迎えてしまった以上、ホームで勝ちたい日本としては、これ以上相手のペースに付き合いたくない。そこで前半とは異なり、相手GKまで、上田がプレスに行くようになった。

 はまった場面もあったが、結果は皮肉なほうに出た。この日本のハイプレスを受けると、オーストラリアはロングボールを蹴り飛ばすことになる。58分、自陣深くから大きく蹴り出すと、FWミッチェル・デュークが頭でフリックし、背後を突いてきた。
 
 これは町田がカバーしたが、GK鈴木彩艶へのバックパスが跳ね、追い詰められた鈴木は利き足ではない左足でロングキック。相手DFのヘディングで一発ではね返ってきたボールは、すぐに日本陣内を陥れ、対応がバタついた中から、最後はクロスへの対応を誤った谷口のオウンゴールとなった。行ったり来たりの展開は、日本にとっては悲劇的な失点に。

 前半はオーストラリアの一発目のパスをつながせていたので、相手のパスミスを突き、ショートカウンターを仕掛けることができた。一方で後半は一発目からプレッシャーに行った分、ロングボールを蹴られる展開が増えた。追い続ける分、日本の疲労も増している。積極的な守備修正ではあるが、前半よりもオープンになったことが、オーストラリア側の得点につながったのは皮肉だ。

 この試合のオーストラリアは、シュート1本、CK0本。その1本のシュートも、7分にFKからデュークが戻りながらのヘディングで大きく枠を外した、ほぼノーチャンスの場面しかない。ホームの日本としては、勝ちたい試合に決まっている。

 だが、どこまでリスクをかけるか。どこでリスクを許容するか。

 CBを1枚減らし、3バックから4バックにしてサイド攻撃の厚みを増す選択肢もあったが、相手の高さを考えれば、3バックの解体はリスクが大きすぎる。だけど、勝ちたい。ボランチのサイドバック化、ハイプレスには踏み込んで修正したが……結果は一進一退の1-1。

 このじれったさよ。これが最終予選。5-0、7-0で勝つとか、アウェーで強豪サウジアラビアに2-0で勝つとか、そんなものではなく、このじれったさこそ、最終予選だ。

 日本のスローインはほとんど相手に奪われたし、細かい修正点は山ほどある。価値ある試合だった。負けていれば、何の共感もない言葉かもしれないが、中村のゴールのおかげだ。勝点を取ったうえで、反省、修正できれば、それに越したことはない。この引き分けは、大きな学びになるはずだ。

文●清水英斗(サッカーライター)

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