【プレミア現地コラム】テリーが退場で幕引き? チェルシーはキャプテンの扱いを誤った

カテゴリ:連載・コラム

山中忍

2016年05月11日

新契約の可能性を告げる方が、よほど非礼で残酷だ。

焦りからか、ロスタイムの無謀なタックルで退場処分に……。テリーはたしかに判断を誤った。だがそれ以上に、チェルシーはキャプテンの扱いを誤った。 (C)Getty Images

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 はなから契約を延長するつもりがなかったのなら、チェルシーはもっと以前に決別の意思を公式声明としてキャプテンに告げるべきだった。実際に発せられた「新監督の判断次第で状況は変わる」とするメッセージは、都合が良い。
 
 新シーズンからの契約で監督就任が決まったアントニオ・コンテは自己主張の強い男である。とはいえ、「専制君主」とも呼ばれるロシア人富豪が牛耳る新天地で、そのオーナーが放出の潮時と判断したベテランとの契約延長を、いきなり要求するだろうか? 
 
 在籍21年の生え抜きに対しては、表面を取り繕うように新契約の可能性を告げる方が、よほど非礼で残酷に思える。
 
 サンダーランド戦で受けた2枚目のイエローカードは、90分を過ぎたロスタイム中の不用意なタックルに対する警告だった。しかも1枚目をもらった数分後。ベテランDFらしからぬ行動の裏には、新契約への微かな望みをかけた重要な試合が、逆転負けで終わろうとしていることへの焦りがあったような気がしてならない。
 
 テリーはタックルの判断を誤った。だがそれ以上に、チェルシーは別称「キャプテン、リーダー、レジェンド」の扱いを誤った。この誤りこそが悔やまれる。アウェーで失意の退場を強いられた通算703試合目が、本当に「ブルーズ戦士」としてのテリーの最後の姿になってしまうのであれば……。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
山中忍/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
 
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