EURO連覇を狙うイタリア、初戦から見えた課題と収穫は?“あり得ない事故”で幕開けも...

カテゴリ:国際大会

片野道郎

2024年06月18日

もし次戦でスペインに敗れれば…

 試合は逆転して以降もイタリアがほぼ一方的に支配したが、最終的なスコアは2-1のまま。キエーザが言うように、もう1、2点入っていてもおかしくない内容だったが、逆に言えば追加点を挙げて試合を「クローズ」できなかったこと、その結果として90分に与えたたった一度の決定機で、すべてを台無しにするリスクに直面したことは、この試合の大きな反省点と言える。

 特に後半に入って攻勢の手が緩み、徐々に重心が下がって、3点目を奪うよりも2-1を守る方に軸足が移っていったことについて、スパレッティ監督はこう語っている。

「押し込んでいるだけで満足して、攻撃をフィニッシュするという目的が疎かになったところも時にはあった。相手が前に出てきた時には裏のスペースを攻略するチャンスだが、この試合ではその機会は少なかった。それで、ポゼッションで相手を動かして2ライン間で前を向く形を作ろうとして、何度かそれに成功したが、そこから逆サイドのトップ下をもっと効果的に使うことができたはず。そこも今後の改善点のひとつだ」
 
 2ライン間で前を向いたアタッカーに守備側の注意が集まった瞬間、遠い側のCBあるいはSBの背後から裏に抜け出し、斜めのスルーパス(浮き玉あるいはグラウンダー)を引き出してシュートや折り返しのアシストにつなげる形は、引いた相手を攻略する典型的なパターンのひとつ。イタリアではロレンツォ・ペッレグリーニ、ダビデ・フラッテージ、あるいは後方から入り込んできたバレッラがこの役割を担うことになる。次のスペイン戦、そして続くクロアチア戦では、この形を作れるかどうかも注目点のひとつと言えるだろう。

 次のスペイン戦は、初戦で勝点3を挙げた同士の対決。引き分け以上であればグループ位2以上での勝ち上がりに大きく近づくが、もし敗れた場合は、裏でクロアチアがアルバニアを下すと仮定すると、最後のクロアチア戦が勝点3同士で2位の座を争う直接対決になる。

その意味で次のスペイン戦は、これまで何度も繰り返されてきた因縁の対決だというだけでなく、グループの星勘定という意味でもイタリアにとってきわめて重要な一戦になる。

 ベタ引きだったアルバニアとは対照的に、積極的なハイプレスで圧力をかけてくるスペインに、イタリアのビルドアップがどこまで対抗できるか、そしてボール支配力では今大会随一という相手に対して、ポゼッションでどこまで渡り合い、主導権を手元に引き寄せることができるか。イタリアの真価が問われる試合になるだろう。

文●片野道郎

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