カゼミーロを使い続けるという判断が最高の形で実を結ぶ。
複数の守備的ポジションに対応できる点も強みのひとつだ。
S・ラモスがイエロー2枚で退場を命じられたとき、ジダンにはいくつかの選択肢があったはずだ。CBが退場になった場合、攻撃的な選手をベンチに下げ、代わりにCBを入れるのが一般的だろう。ベンチにはナチョが控えていた。
テクニカルスタッフとしばらく相談した後、ジダンはある決断を下した。それはカゼミーロをCBの位置に下げるというものだった。
こうしてマドリーは攻撃的な選手を交代せずしてチームを立て直し、それが逆転劇を生む一因となった。クロースもモドリッチも同じ役割はこなせない。カゼミーロを使い続けるという判断。それが最高の舞台で、最高の形となって実を結んだ。
印象的だったのは、C・ロナウドの逆転弾が決まった直後の光景だ。チームメイトがゴールを祝うなか、カゼミーロはひとり芝の上に膝をつき、天に向かって叫び続けていた。世界中のカメラが、C・ロナウドを追い続ける中で。
「ジダンはマケレレを見つけた」。いまではそんな声すらある。
現役時代、ジダンがマドリーとフランス代表でともにプレーした名ボランチ。それがクロード・マケレレだ。彼によく似たタイプのカゼミーロはまさしく、いまのマドリーに必要な存在だったのだ。
クラシコをモノにしたとはいえ、バルサとの勝点差はまだ7ポイントある。リーガ優勝は依然として厳しい状況だ。しかし、クラシコを制してマドリーの士気が一気に高まったのも事実。チャンピオンズ・リーグを見据えれば、勝点3以上に意味のある勝利だったと言えよう。
シーズン終盤を迎えて加速し始めたマドリー。それを可能にしたのが、陰で働き続ける目立たないブラジル人だった。
【著者プロフィール】
豊福晋/1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。
S・ラモスがイエロー2枚で退場を命じられたとき、ジダンにはいくつかの選択肢があったはずだ。CBが退場になった場合、攻撃的な選手をベンチに下げ、代わりにCBを入れるのが一般的だろう。ベンチにはナチョが控えていた。
テクニカルスタッフとしばらく相談した後、ジダンはある決断を下した。それはカゼミーロをCBの位置に下げるというものだった。
こうしてマドリーは攻撃的な選手を交代せずしてチームを立て直し、それが逆転劇を生む一因となった。クロースもモドリッチも同じ役割はこなせない。カゼミーロを使い続けるという判断。それが最高の舞台で、最高の形となって実を結んだ。
印象的だったのは、C・ロナウドの逆転弾が決まった直後の光景だ。チームメイトがゴールを祝うなか、カゼミーロはひとり芝の上に膝をつき、天に向かって叫び続けていた。世界中のカメラが、C・ロナウドを追い続ける中で。
「ジダンはマケレレを見つけた」。いまではそんな声すらある。
現役時代、ジダンがマドリーとフランス代表でともにプレーした名ボランチ。それがクロード・マケレレだ。彼によく似たタイプのカゼミーロはまさしく、いまのマドリーに必要な存在だったのだ。
クラシコをモノにしたとはいえ、バルサとの勝点差はまだ7ポイントある。リーガ優勝は依然として厳しい状況だ。しかし、クラシコを制してマドリーの士気が一気に高まったのも事実。チャンピオンズ・リーグを見据えれば、勝点3以上に意味のある勝利だったと言えよう。
シーズン終盤を迎えて加速し始めたマドリー。それを可能にしたのが、陰で働き続ける目立たないブラジル人だった。
【著者プロフィール】
豊福晋/1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。