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公式戦いまだ無敗の衝撃!クラブ史上初のブンデス優勝も現実味を帯びるレバークーゼンの何が凄い?【戦術エキスパートが徹底解剖|前編】

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2024年04月06日

トップ下のヴィルツがその優れたテクニックと創造性を活かして

チームの主軸として躍動する(左から)フリンポン、ヴィルツ、ホフマン。(C)Getty Images

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 とはいえもちろん、ここまでの躍進を支えているのは、柔軟かつ質の高い後方からのビルドアップと安定したポゼッション、個人能力に過度に依存せず連携を重視したコレクティブなファイナルサード攻略、ボールロスト時のゲーゲンプレッシングと敵のビルドアップに対するマンツーマンのハイプレス(どちらも前進守備)という、ボールを通して主導権を握りに行くアクティブなスタイルが、きわめて高いレベルで機能していることが一番の理由だ。
 
 昨シーズンのシャビ・アロンソ監督は、途中就任だったこともあり、それまでのスタイルやチームの陣容を踏まえる形で、重心を低めに設定してやや受動的に振る舞いつつ、ボール保持でもより縦志向を強く打ち出すという、前述のバイエルン戦で見せたような戦い方を基本に据えていた。
 
 しかし、夏の移籍マーケットで大幅に陣容を入れ替えて、プレシーズンからじっくりとチームを構築する時間を得たことで、今シーズンは自身の哲学をより直接的に反映した、アクティブなスタイルを当初から打ち出している。
 
 ピッチ上の配置は、ボール保持と非保持ではっきりと異なるだけでなく、ピッチ上のプレーエリアや相手との噛み合わせによっても柔軟に変化する。ただし、配置ではなく起用する選手の特性に基づけば、レバークーゼンの基本システムは3-4-2-1と表せるだろう。具体的に言えば、スターターの11人はGKに加えて、3人のCB、大外レーンを上から下までカバーする左右のウイングバック(WB)、中盤センターで攻守のバランスを取る2人のセントラルMF、敵2ライン(DFとMF)間で攻撃的に振る舞う2人のトップ下、そして最前線中央で基準点となるCFという構成だ。
 
 セーブ率80.7%というリーグでもダントツの数字を誇るなど、際立った活躍を見せている守護神ルーカス・フラデツキーの前を固めるCBは、右からオディロン・コスヌ、ヨナタン・ター、エドモンド・タプソバという顔ぶれ。いずれも身長190cmを超える大柄な体格の持ち主ながら、それを感じさせないスピードとアジリティーを備えたモダンなCBだ。
 
 左右の2人、とりわけ右のコスヌはプレーの流れの中でワイドに開いてサイドバック(SB)としても機能する戦術的柔軟性を備えていて、時にはドリブルでの持ち上がりから敵陣まで進出して攻撃に絡むケースもある。
 
 WBの2人は、右のジェレミー・フリンポンが爆発的なスピードと高い持久力、優れたテクニックを活かしてサイドバック(SB)というよりはウイングに近い攻撃的な振る舞いを見せ、しばしば敵ペナルティーエリアまで進出してフィニッシュに絡んでいくのに対して、昨夏にベンフィカ・リスボンから獲得した左のアレハンドロ・グリマルドは、卓越した戦術眼と精度の高い左足のキックを武器に、大外レーンだけでなく一列内側のインサイドレーンでMF的なプレーも見せる。
 
 そして中盤センターでチームの「へそ」と呼ぶべき重要な働きを見せるのが、昨夏にアーセナルから加入し、リーダーにふさわしい存在感を発揮しているベテランのグラニト・ジャカと、テクニック、運動量、闘争心を併せ持ったいかにもアルゼンチンのセントラルMFらしいキャラクターのエセキエル・パラシオスだ。
 
 前線は、敵2ライン間の中央3レーンを主戦場として仕掛けからフィニッシュまでファイナルサードでの全局面に絡んで行くヨナス・ホフマン、フローリアン・ヴィルツという2人のトップ下、190cmの強靭な体格にスピードとテクニックを兼備し、DFを背負ってのポストプレーから裏のスペースアタック、周囲と連携してのコンビネーションまで幅広くこなすパワフルなCFヴィクター・ボニフェイスという顔ぶれ。バイエルンのジャマル・ムシアラと並びドイツ代表の未来を担う大器と目されるヴィルツが、その優れたテクニックと創造性を活かして1対1突破やワンツーなどのコンビネーションから決定機を作り出すのに対し、元々はウイングのホフマンは縦のダイナミズムを持ち味としていて、スペースメークや裏抜けなどオフ・ザ・ボールの動きで攻撃に流動性を作り出している。
 
 後編では、ボール保持と非保持、それぞれの局面におけるレバークーゼンの基本的な振る舞いを見ていこう。
 
【後編】に続く
 
文●レナート・バルディ(イタリア代表マッチアナリスト)
翻訳●片野道郎
 
【著者プロフィール】
レナート・バルディ(Renato BALDI)/地元のアマチュアクラブで育成コーチとしてキャリアをスタートし、セリエBのランチャーノ、バレーゼで戦術分析を担当。ミハイロビッチがサンプドリア監督に就任した際にスタッフとなり、ミラン、トリノ、ボローニャにも帯同した。現在はイタリア代表のマッチアナリストを務める。
 
※『ワールドサッカーダイジェスト』2024年3月21日号の記事を加筆・修正
 
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