この深刻な状況を見かねたアレックス・ファーガソンは１月、昨シーズンで引退したポール・スコールズに復帰を要請。37歳のMFが戦列に加わると、チームは安定感を取り戻していく。
 
　すでにFAカップとリーグカップも落とし、狙えるタイトルはリーグ戦しかなくなったユナイテッドは後半戦、シティとデッドヒートを繰り広げた。
 
　しかし、単独首位で迎えた35節のエバートン戦で、２点をリードしながら７分間で同点に追いつかれる大失態。翌節でシティとの直接対決に再び敗れると、トップの座から引きずり落とされてしまった。
 
　この同じ街の２クラブによる覇権争いは、最終節に劇的な展開の幕切れを迎える。
 
　まず、得失点差でシティに８も下回るため、絶対に勝利が必要だった２位のユナイテッドは、サンダーランドとのアウェーゲームを１-０で勝利し、ライバルの結果を待った。
 
　一方、勝てば無条件で優勝を手にできるシティは、しかし過度なプレッシャーのせいかQPRに苦戦し、１-２とリードされて、アディショナルタイムに突入する。
 
　これをタインウェア（サンダーランド）で聞いたユナイテッドの面々は勝利を確信し、ファーガソンを含め、関係者全員が笑顔を隠せずにいた。
 
　しかし、なんとシティは、92分にゼコ、94分にアグエロが決めて逆転勝利。44年ぶりに戴冠を達成するとともに、優勝を確信していたユナイテッドの、７年ぶりのシーズン無冠が決定した。
 
　失意のどん底に落とされたファーガソンは試合後、それでも「彼ら（シティ）も分かっているだろう。我々が簡単に引かないことをね」と悔しさを噛み殺しながら、来シーズンでのリベンジを誓った。
 
 

◎2011-12シーズン成績
リーグ：２位（28勝５分け５敗・89得点33失点）
FAカップ：４回戦敗退（対リバプール）
リーグカップ（カーリングカップ）：ベスト８（対クリスタル・パレス）
チャンピオンズ・リーグ：グループステージ敗退
ヨーロッパリーグ：ベスト16（対アスレティック・ビルバオ）
 
チーム内得点ランキング（プレミアリーグ）：ルーニー（27点）、エルナンデス（10点）、ウェルベック（９点）、ナニ（８点）、ベルバトフ（７点）、ヤング（６点）、バレンシア（４点）、スコールズ（４点）、キャリック（２点）、パク・チソン（２点）、ギグス（２点）、アンデルソン（２点）、フレッチャー（１点）、スモーリング（１点）、ジョーンズ（１点）、エバンス（１点）
 
◎主なトランスファー
◇IN
GK デ・ヘア（←A・マドリー）
DF ジョーンズ（←ブラックバーン）
MF ヤング（←アストン・ビラ）
MF ポグバ（←ユースから昇格）
MF スコールズ（←無所属）※１月に現役復帰
 
◇OUT
GK ファン・デルサル（→引退）
DF オシェイ（←サンダーランド）
DF ブラウン（→サンダーランド）
MF ギブソン（→エバートン）
MF ドリンクウォーター（→レスター）
MF モリソン（→ウェストハム）
FW オベルタン（ニューカッスル）
FW ディウフ（ハノーファー）
FW ベベ（ベジクタシュ）