【リーガ現地コラム】「MSN」と「BBC」の陰で脚光を浴びつつあるビルバオの国産トリデンテ

カテゴリ:連載・コラム

豊福晋

2016年03月17日

高い戦術理解力を誇る機動力に優れたストライカー。

チャンスメークもフィニッシュも一級品のウィリアムス(左)は、サビンとともに35歳の主砲アドゥリス(右)が去った後のA・ビルバオを背負って立つ存在として期待を集める。(C)REUTERS/AFLO

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 サビンは187センチと長身ながら、ここまではサイドでの出場が多い。ただし、エルネスト・バルベルデ監督は「鋭いゴール嗅覚を持っている」と、チャンスメーク以上にスコアラーとしての活躍を求めている。ベティス戦の得点も、ストライカーのそれを想起させるようなシーンだった。

 恵まれたフィジカルを駆使したヘディングでのゴールが光る一方で、本人は意外にも「走りながらスペースに飛び込んで合わせるのが持ち味」と語る。典型的なタワー・タイプではなく、より機動力に優れたアタッカーなのだ。指揮官は「戦術理解度が高く、こっちの要求に高いレベルで応えてくれる」と称賛。その言葉のとおり、マルセイユ戦ではウイングとCFの両方の役割を完璧にこなし、EL16強進出の立役者になった。

「今シーズンは予想していたよりも長い時間、ピッチに立てている。チャンスを与えてくれたバルベルデ監督に感謝している」

 今年に入って2019年まで契約を延長したサビンはそう語る。

 A・ビルバオの前線では、同じくイニャキの活躍も際立つ。やがて訪れるポスト・アドゥリスの時代には、このウィリアムスとサビンがチームを背負って立つ存在となるはずだ。今後のふたりの一層の活躍、さらにはスペイン代表入りにも期待してよさそうだ。

 MSNとBBCの陰で、この「国産」トリデンテに大きな注目が注がれようとしている。

文:豊福晋

【著者プロフィール】
豊福晋/1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。
 
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