ただ、今のチームには、別のところにも問題があるようにも思える。試合後、小泉 慶はこう語っている。
 
「後半早々に同点に追いついたけど、その後（ラファエル・シルバが退場して）ひとり少なくなった。その時に、勝ちに行くのか、引き分けで良いのかチーム全体が中途半端だった。守りに入るのか、攻めに行くのかっていうのが五分五分の状態だったのは感じましたね」
 
　つまり、選手間に「意識のズレ」が生じていたというのだ。小泉が指摘したとおり、数的不利に陥りながらも、守備を固めるわけでもなく、“チャンスがあれば１点を狙いに行く”との気概はあった。ホーム開幕戦だけに勝利で終えたかったのは理解できるが、３試合で４得点を挙げるR・シルバを失った時点でどう戦うのかを、チーム全体で共有すべきだったのは否定できない。
 
　こういった現象は、実は神戸戦でも起きていた。後半に一時３-２と逆転した時点で「前の選手はイケイケになったが、後ろは守りたいと考えていた」（加藤 大）。その後に４失点を喫したのも、チームとしての意思統一が欠けていた事実と無関係ではないだろう。
 
　前述したように、攻守両面の精度を突き詰めるのももちろん重要だが、なにより気掛かりなのはこの「意識のズレ」。状況に応じた試合運びという点で、このまま統一感を欠く悪癖を繰り返すようだと、この先の戦いで勝点を取りこぼしかねない。
 
　２連敗を喫し14位に沈むチームの真価が問われるようとしているなか、次節は同じく下位に燻る柏と相まみえる。早くも訪れた正念場となる一戦で、同じ過ちを繰り返すことだけは許されない。
 
 
取材・文：橋本 啓（サッカーダイジェスト編集部）