• トップ
  • ニュース一覧
  • 教員から44歳でプロレフェリーへ! 昨季のJリーグ最優秀主審の決断【審判員インタビュー|第7回・中村太】

教員から44歳でプロレフェリーへ! 昨季のJリーグ最優秀主審の決断【審判員インタビュー|第7回・中村太】

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2024年01月09日

トップレベルのプロレフェリーはとにかくオーラが凄い!

元PRの扇谷氏(写真)や佐藤氏から大きな影響を受けたという。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

――大学卒業後はどうされたのでしょうか?

「JAさいたまに就職しました。社会人でサッカーを続けたかったのもありまして、準公務員的な時間に余裕のある職場を探していました。母が農家ということもあり、仕事にも興味を持てました」

――以前にお話をお伺いした際に「就職してからもプロを諦めきれずにJクラブのテストを受けた」とおっしゃられていました。ある意味、引きずれるくらいのレベルにいたということでしょうか?

「大学でもプレーしていましたから、私より上手くてプロになっていない人たちがいるのも頭では分かっています。自分のレベルがプロに値するとかではなく、『もしかしたら、どこかでプレーができるのでは?』と諦めがつかない、踏ん切りがつかない感じでした」

――そのプロになりたい気持ちから行動した、と。中澤さんと似たプロセスですね。

「中澤さんから話も訊いていたので、影響はあると思います。私もJリーグ各クラブに連絡させて頂いて、練習生としてでも参加させてくれるクラブを探していました。そして、あるクラブのセレクションを受け、半年くらい練習生として参加させて頂きましたが、契約には至りませんでした」

――なるほど。やり切って、次のステップに進もうと思えたわけですね。

「はい。それで、教員の道に進みました。教員に決めた理由のひとつに、サッカーに関わりたいというのがありました。職業だけの選択で言うと、すごく格好良い言い方をすれば、人の役に立つ職業に就きたかった。警察官、消防士、教員を考え、最終的に警察官と教員の採用試験を受けて、サッカーに関われるという部分も含めて、教員を選びました」

――今のところ、レフェリーの話はまったく出てきませんが、教員になってから中村さんのレフェリー人生がスタートしますよね。以前にお話を伺った時に、最初の赴任先に埼玉県の審判委員会委員長がいて、中村さんは本当は監督やコーチなどの技術系に進みたかったけれど、審判を進められてレフェリーの世界に入っていったと。若さもあり、トントンと級が上がっていくなかで、大変さを感じたのはいつくらいでしょうか?

「1級審判員になり、Jリーグ担当審判員になると、コンスタントに割り当てが入るようになります。それで自分に大変さが生じたわけではなく、教員として、顧問として、今まで生徒たちにかけられた時間を削らなければいけないこと。分かりやすく言えば、土日のどちらかは自分の時間を優先しないといけませんから、生徒たちに対する申し訳なさやジレンマはありました」
 
――2010年の天皇杯、東京ヴェルディ対FC町田ゼルビア戦でプロの厳しさを知ったとお話されていましたが、他にターニングポイントとなったような試合はありますか?

「2級審判員として活動していた時、私が割り当てられた大会に視察か何かは分からないのですが、プロフェッショナルレフェリーの扇谷健司さんが来られていました。そこで初めて、Jリーグ担当審判員の中でもトップレベルのレフェリーの方にお会いしたのですが、2級審判員からすると、ペガサス的な空想上の存在じゃないですか(笑)。とにかくオーラが凄くて、当時の私は26歳くらいでしたから、プロのレフェリーの凄みが怖いというか...」

――(笑)。都並敏史氏が欧州のトップレフェリーを見て「試合前にスーツ姿で見かけたけど、スター選手のようなオーラがあった」と解説していたこともありましたから、おっしゃられている事は何となく分かります。扇谷さんと印象的なやりとりがあったのでしょうか?

「話しかけて頂いたのですが、うまく喋れませんでした(苦笑)。なので、当時の話をすると、扇谷さんに『態度悪かったなぁ』と言われます(笑)。緊張していただけなんですけどね。

 扇谷さんでトップレフェリーのオーラを感じた後に、サテライトリーグでプロフェッショナルレフェリーの佐藤隆治さんがレフェリーを務める試合の副審の割り当てを受けました。隆治さんの速さ、そして上手さ。試合後には隆治さんからお話も聞けて、プロとしての意識の高さに驚きました。

 扇谷さんと隆治さん、ふたりのプロにお会いしたことで、何となくプロを意識し始めました。ある意味で、ターニングポイントだったかもしれません」
 
【関連記事】
「日本は本当に強い。7連勝で優勝できる」カタールで他国記者に訊いた森保ジャパンの“リアル評”「2チーム連れて来るのも可能だ」
「本当に驚いた」ブライトン指揮官が困惑した三笘薫のアジア杯招集。クラブと関係が悪化する懸念はないのか。JFAの山本昌邦NDに訊いた
「日本はもはやアジアではなく欧州レベル」亜杯に挑む森保ジャパンの陣容に現地カタールの記者も驚嘆!「ワールドクラスの選手を擁している」
【選手権】取材ライターが選ぶベストイレブン!“カオス”を生み出した金山耀太、技巧派ながら守備も一生懸命の芝田玲らを選出
【選手権】取材ライターが選ぶ「下級生ベスト11」! “二刀流”のCBや抜群の決定力でチームを救った1年生アタッカーをセレクト!

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト いざアジア王者へ!
    5月10日発売
    悲願のACL初制覇へ
    横浜F・マリノス
    充実企画で
    強さの秘密を徹底解剖
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト シーズンラストの決定版
    5月16日発売
    2023-2024シーズン
    欧州5大リーグ
    BEST PLAYER
    元選手・識者たちが徹底討論!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ