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「俺以外に選択肢がないからどかした」AZ菅原由勢が垣間見せたFKキッカーとしての強い自負。「右足は武器。もっと怖い武器にしていきたい」【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中田徹

2023年11月27日

過酷な代表遠征にも「チームは理解し、僕のことを尊重してくれる」

シリア戦では待望の代表初ゴールをマーク。自慢の右足が火を噴いた。(C)Getty Images

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 3点の大量リードを奪ったAZは69分に3枚替え。日本代表の一員として日本(対ミャンマー)、サウジアラビア(対シリア)と長距離移動を続けた菅原は、ここでお役御免となった。

「移動に伴う疲労、怪我のリスクを監督、チームが理解しています。オランダに戻ってきてからのスケジュールは、僕に合わせてくれています。移動の辛さを分かってくれており、『時差ボケで寝たい』と言えば、チームが午前練習でも僕は午後に練習したりして、僕のことを尊重してくれる。今日も途中で代えてくれました。僕自身、『プレーヤーを大切に使ってくれる』と感謝しています。プレーすればするほど怪我するリスクは上がりますしね」

 日本代表の森保一監督はミャンマー戦とシリア戦のスタメンを、DF谷口彰悟、FW上田綺世を除く9人入れ替えることで、選手の疲労を抑えるようマネジメントし、ともに5−0で勝利した。菅原はサウジアラビア開催のシリア戦をフル出場し、クリーンシュートで代表初ゴールを記録した。

 ミャンマー戦では毎熊晟矢が右SBを務めた。橋岡大樹は11月3日のオイペン戦で負傷退場する77分まで好守に渡って右サイドを制していた。右SBだけでも日本は3つのオプションが即座に浮かぶ。

 森保一監督は『1チーム2カテゴリー』を唱えてA代表とオリンピック代表の融合を図った。11月の日本代表は負傷者が相次いだが、ワールドカップ・アジア2次予選なら十分バックアップが可能だった。このレベルの戦いなら『A代表2.5チーム』ないしは『A代表3チーム』を構成できる層の厚さだ。

 菅原はシリア戦のみの出場となった11月シリーズをこう振り返る。

「ターンオーバーというか、選手を変えても結果が出るのは、日本の選手たちの実力だと思います。しかし、僕自身もそうですが、他の選手も1試合目から出場するつもりで準備していました。『1試合目を休む』という言い方をしたくはありませんが、ミャンマー戦を出ないことをポジティブに捉えるしかない。2試合目にそれをうまく活用できたと思います。シリア戦で素晴らしい試合が出来ました。そういう実力が日本代表にはあると思います」
 
 AZに話しを戻す。19歳の左ウインガー、ファン・ボメルはU-21代表のオランダ対スウェーデンで2ゴール・1アシストの固め取りをし、自信を漲らせてAZに再合流した。ベテランMFのヨルディ・クラシーはオランダ代表招集を断ってクラブに専念し、ダイナミックな動きで攻守の要を果たす。菅原は23歳の若さにして異国の地でチームリーダーを務めている。そんな彼らはフォレンダム戦でポジションチェンジを連綿と続け、長短のパスを織り交ぜて魅惑のフットボールを披露した。

 戦力では首位PSV、2位フェイエノールトに敵わない。それでも彼らは全員サッカーでビッグクラブに食らいつく。

取材・文●中田 徹

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