新戦力のふたりは可能性を示した
チームとして課題を挙げるとしたら、やはり攻撃面だろう。特に「1人で打開できる力」を見せた選手がいなかったのが寂しいところだ。
ミャンマーは立ちあがりから6バックを敷き、自陣に引きこもった。引いて守る相手には、サイドの選手は縦、中央の選手は中を切り崩す打開力が必要だ。
その打開力を誰が見せるのか。また、チームとしてどう密集地帯を崩すのか――。攻撃を彩る前線の選手に注目したが、彼らが見せたパフォーマンスは期待を下回った。
自陣に引きこもるような格下の相手は、パスばかり回しても崩せない。左サイドへボールをつけて、ダメだったらバックパスしてゆったりと右サイドへ展開。行き詰れば、再びバックパスをしてやり直す。その繰り返しを行なう時間帯が長すぎた印象だ。
右サイドハーフの堂安律も、左サイドハーフの相馬勇紀も、縦への意識が足りなかった。もっと個人で仕掛けないと、相手も楽に守れてしまう。堂安は1ゴール・1アシストを記録したけれど、10番たる「怖さ」がなかった。相馬はクロス精度を欠いた点がいただけない。
もし両翼が伊東純也と三笘薫だったら、1対1はもちろん、1対2の局面でも、より果敢に仕掛けていたはずだ。その点を比較すると、ミャンマー戦で先発したサイドハーフの2人には高評価を与えられない。
ミャンマーは立ちあがりから6バックを敷き、自陣に引きこもった。引いて守る相手には、サイドの選手は縦、中央の選手は中を切り崩す打開力が必要だ。
その打開力を誰が見せるのか。また、チームとしてどう密集地帯を崩すのか――。攻撃を彩る前線の選手に注目したが、彼らが見せたパフォーマンスは期待を下回った。
自陣に引きこもるような格下の相手は、パスばかり回しても崩せない。左サイドへボールをつけて、ダメだったらバックパスしてゆったりと右サイドへ展開。行き詰れば、再びバックパスをしてやり直す。その繰り返しを行なう時間帯が長すぎた印象だ。
右サイドハーフの堂安律も、左サイドハーフの相馬勇紀も、縦への意識が足りなかった。もっと個人で仕掛けないと、相手も楽に守れてしまう。堂安は1ゴール・1アシストを記録したけれど、10番たる「怖さ」がなかった。相馬はクロス精度を欠いた点がいただけない。
もし両翼が伊東純也と三笘薫だったら、1対1はもちろん、1対2の局面でも、より果敢に仕掛けていたはずだ。その点を比較すると、ミャンマー戦で先発したサイドハーフの2人には高評価を与えられない。
中盤の鎌田大地や田中碧も、中を使う意識が足りなかった。間のスペースに顔を出しながら隙を突こうとしていたが、最終ラインの背後へのパスや効果的なクサビが少なかった。ミャンマーのような相手であれば、つなぎ役だけでなく、トップ下的な役割を果たさなければいけない。
唯一、相手の守備を打開するアイデアがあったのは、この日に開通した上田と南野拓実のホットライン。上田がボックス付近でボールを要求したタイミングでパスを出せていたのは南野だけだ。
上田の良さは、相手を背負うプレーと、背後への抜け出し。先制点のシーンでは、南野が背番号9の長所を引き出すような、上の空間を使った浮き玉のスルーパスを出した。2人のコンビネーションは、この日の最大の収穫と言える。
とはいえ、堂安と相馬、南野の代わりに、伊東と三笘、久保建英が出ていれば、もっと楽に崩せていたのではないか。アジア予選を戦っていくうえでは、サブメンバーを含め、全体の攻撃のクオリティを高める必要がある。
ワンサイドゲームの展開ならば、センターバックの町田浩樹や谷口彰悟も、鎌田や田中同様、ひとつポジションを上げるイメージを持つべきだ。ボランチ的な役割となって果敢に攻撃参加し、相手を引き出すプレーが必要だった。
両サイドバックの毎熊晟矢も中山雄太も、ポジショニングを意識していたが、相馬や堂安とのコンビネーションによる縦への突破がほとんどなかったのは課題だろう。
新戦力では、ボランチの佐野海舟、フォワードの細谷真大は可能性を示した。よりレベルの高い相手でどこまでやれるか。次戦以降で、代表に定着できるかの真価が問われる。
【著者プロフィール】
本田泰人(ほんだ・やすと)/1969年6月25日生まれ、福岡県出身。帝京高―本田技研―鹿島。日本代表29試合・1得点。J1通算328試合・4得点。現役時代は鹿島のキャプテンを務め、強烈なリーダーシップとハードなプレースタイルで“常勝軍団”の礎を築く。2000年の三冠など多くのタイトル獲得に貢献した。2006年の引退後は、解説者や指導者として幅広く活動中。スポーツ振興団体『FOOT FIELD JAPAN』代表。
【PHOTO】日本代表のミャンマー戦出場16選手&監督の採点・寸評。2人に7点台の高評価。MOMはハットトリックのFW
唯一、相手の守備を打開するアイデアがあったのは、この日に開通した上田と南野拓実のホットライン。上田がボックス付近でボールを要求したタイミングでパスを出せていたのは南野だけだ。
上田の良さは、相手を背負うプレーと、背後への抜け出し。先制点のシーンでは、南野が背番号9の長所を引き出すような、上の空間を使った浮き玉のスルーパスを出した。2人のコンビネーションは、この日の最大の収穫と言える。
とはいえ、堂安と相馬、南野の代わりに、伊東と三笘、久保建英が出ていれば、もっと楽に崩せていたのではないか。アジア予選を戦っていくうえでは、サブメンバーを含め、全体の攻撃のクオリティを高める必要がある。
ワンサイドゲームの展開ならば、センターバックの町田浩樹や谷口彰悟も、鎌田や田中同様、ひとつポジションを上げるイメージを持つべきだ。ボランチ的な役割となって果敢に攻撃参加し、相手を引き出すプレーが必要だった。
両サイドバックの毎熊晟矢も中山雄太も、ポジショニングを意識していたが、相馬や堂安とのコンビネーションによる縦への突破がほとんどなかったのは課題だろう。
新戦力では、ボランチの佐野海舟、フォワードの細谷真大は可能性を示した。よりレベルの高い相手でどこまでやれるか。次戦以降で、代表に定着できるかの真価が問われる。
【著者プロフィール】
本田泰人(ほんだ・やすと)/1969年6月25日生まれ、福岡県出身。帝京高―本田技研―鹿島。日本代表29試合・1得点。J1通算328試合・4得点。現役時代は鹿島のキャプテンを務め、強烈なリーダーシップとハードなプレースタイルで“常勝軍団”の礎を築く。2000年の三冠など多くのタイトル獲得に貢献した。2006年の引退後は、解説者や指導者として幅広く活動中。スポーツ振興団体『FOOT FIELD JAPAN』代表。
【PHOTO】日本代表のミャンマー戦出場16選手&監督の採点・寸評。2人に7点台の高評価。MOMはハットトリックのFW