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真の『大宮とは?』を構築できるか。ビジョンなき凋落、J3降格圏は“順当”な結果。大低迷からの脱却は決して簡単ではない

カテゴリ:Jリーグ

松澤明美

2023年11月14日

チームの幹となるものが何も残らない人事

原崎体制でも思うような成果を出せなかった。写真:鈴木颯太朗

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 大きく影響を受けたのはチームスタイルだろう。どんなサッカーを目ざしているのかが曖昧で、監督の志向によって戦術が変遷。たとえば、今季だけを見ても守備重視の相馬前監督から攻撃重視の原崎監督となり、ましてや最下位になったうえでの方針転換だ。

 当然、できるだけ早く残留圏内へ入るために勝点を稼ぐことは優先事項。まずは失点減を念頭に置き、原崎監督はヘッドコーチだったこともあって堅守速攻を一定の期間は継続するかと思いきや、ボール保持に舵を切る。そして結局、最後は堅守速攻に戻った。

 本来は佐野秀彦社長が「クラブの心臓部」と言う強化部を中心に『大宮とは?』を明確にし、スタイルを定め、編成をする必要があった。だが、佐野社長は強化のノウハウに乏しい秋元利幸氏をフットボール本部強化部長代理に据え、自身が同本部長を兼任したこともある。

 結果が出なくても秋元代理が強化部長に昇進し、その後に原博実フットボール本部長が就任。プロクラブの強化経験が豊富かは疑問符がつく顔触れで、秋元強化部長が体調不良で退任してからは原本部長が兼任することになって、単独の強化部長は不在だ。

 このように、右往左往ばかりではチームの幹となるものが何も残らない。しかも、今季は具体的な目標なき船出で、初練習と同日に行なわれた新体制発表会で相馬監督はこう言っていた。
 
「数字というのは考えていない。今日も選手に伝えていない。まず目の前、まず開幕戦を、まだ先を見るのは難しいので、まずトレーニングでどれだけやれるか。そこしかない。開幕戦は42分の1じゃないとよく言うが、そうではなくてすべてを費やすゲームを42回する。

 目の前にあるのは1試合しかないし、勝点は3しかない。それを奪い合うのが試合だと思う。先のことを言うのではなくて、本当に目の前のものに全力を費やす。そこに可能な限りのチャレンジをできるようなチームにしていきたい」

 佐野社長も続いた。

「相馬が答えたように、一つひとつ全力で戦っていくというのがまず一つの目標。J1昇格を目ざさないチームはないと思っている。それはしっかりと置きつつも、まずは一つひとつ全力で戦うというのがクラブのなかでの共通の認識。開幕から一戦一戦を戦っていくことになるので、そのなかで変化といったものは当然出てくる。現時点では相馬が言った通り、そういう目標を持ってやっていきたい」

 J2優勝やJ1昇格などハッキリとした明言は避け、具体的な目標は選手たちにも伝えられずじまい。旗印がなければ向かう先はバラバラで困惑する選手が出てもおかしくはない。原崎監督就任時にようやく「プレーオフ圏内・J1昇格」という言葉が出てきたが遅きに失した。

 すべての“見通しの甘さ”が、『大宮とは?』を問うていく。
 
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