指揮官が求めるスタイルとの噛み合わせの悪さが、京都退団への引き金に。
キャラクターも独特だ。試合後のインタビューや取材には飄々とした立ち振る舞いで応じ、チームメイトへの要求も隠さず言葉にしてきた。「駄目だ」と思ったことを公の場で堂々と物申す言葉の数々には、捉え方によって“批判的”なようにも映る。しかしそれもチームが勝つために自分なりに考えたものであり、ゴールを決めて勝たせられる自信の裏返しでもある。
そうした言動で京都では存在感を発揮していたが、風向きが変わったのは昨季途中からだった。石丸清隆監督が就任後、前線には運動量と守備意識の高い若手FWが起用されるケースが増えたのである。J3降格の可能性もチラつく状況で、守備の安定を図りたい指揮官のスタイルと、なによりゴールを狙い続ける大黒のプレースタイルが噛み合わなかったのだ。
そんななかでも、大黒は交代出場からゴールを決めるなど、ピッチに立てば結果を出してチーム最多の16ゴールを奪った。前年と比べて数こそ減ったが、これは前述した状況に加えて、パスの出し手が見当たらなかったことや、その穴を埋めるべき選手が能力を発揮しきれなかったという要因があったことを記しておきたい。
もっとも、攻撃のバリエーションが少なく、唯一のホットラインともいえる右サイドの石櫃洋祐からのクロスも警戒された中で16得点を挙げたのは、逆に彼の得点力の高さを証明していると言えるのではないだろうか。
特徴がはっきりしているゆえに起用法はある程度限定されるが、指揮官が彼のようなタイプのFWを必要とし、その能力を活かせる戦術やチームメイトが存在するならふた桁ゴールは充分に見込めるだろう。
どんなに試合内容で上回ろうとも、サッカーの勝敗はゴールネットを揺らした数で決まる。良い流れの中で得点を生み出すのはもちろん、悪い内容でも数少ないチャンスを活かしてチームに勝点をもたらす――味方としては頼もしく、敵としてはこれほど嫌な選手はいない。それが大黒将志というFWの生き様だ。
文:雨堤俊祐(サッカーライター)
そうした言動で京都では存在感を発揮していたが、風向きが変わったのは昨季途中からだった。石丸清隆監督が就任後、前線には運動量と守備意識の高い若手FWが起用されるケースが増えたのである。J3降格の可能性もチラつく状況で、守備の安定を図りたい指揮官のスタイルと、なによりゴールを狙い続ける大黒のプレースタイルが噛み合わなかったのだ。
そんななかでも、大黒は交代出場からゴールを決めるなど、ピッチに立てば結果を出してチーム最多の16ゴールを奪った。前年と比べて数こそ減ったが、これは前述した状況に加えて、パスの出し手が見当たらなかったことや、その穴を埋めるべき選手が能力を発揮しきれなかったという要因があったことを記しておきたい。
もっとも、攻撃のバリエーションが少なく、唯一のホットラインともいえる右サイドの石櫃洋祐からのクロスも警戒された中で16得点を挙げたのは、逆に彼の得点力の高さを証明していると言えるのではないだろうか。
特徴がはっきりしているゆえに起用法はある程度限定されるが、指揮官が彼のようなタイプのFWを必要とし、その能力を活かせる戦術やチームメイトが存在するならふた桁ゴールは充分に見込めるだろう。
どんなに試合内容で上回ろうとも、サッカーの勝敗はゴールネットを揺らした数で決まる。良い流れの中で得点を生み出すのはもちろん、悪い内容でも数少ないチャンスを活かしてチームに勝点をもたらす――味方としては頼もしく、敵としてはこれほど嫌な選手はいない。それが大黒将志というFWの生き様だ。
文:雨堤俊祐(サッカーライター)