１-０で迎えた後半、U-18Jリーグ選抜（以下・J選抜）の大槻毅監督は、FW菅大輝に代えてFW渡辺力樹を投入。後半７分には右FW田中彰馬に代えてFW向井章人を、８分には２シャドーの一角の深堀隼平に代えて生地慶充を投入し、前線のテコ入れを図った。
 
　これが奏功し、試合の流れが変わった。J選抜は向井がMF梶山幹太のパスを受けると、得意のドリブルで切れ込んで、強烈なシュートを叩き込んだ。向井は34分には強烈なドリブルシュートを放つなど、持ち前のドリブル技術でアクセントになり続けた。それに対し、高校選抜も中盤のトライアングルがリズムを崩すことなく、質の高いコンビネーションを見せたことで、試合は非常に締まった展開となった。
 
　双方がまだ急造チームながらも、持ち味を出した結果、試合は１-１のドローで終了。高校選抜は「３月下旬のドイツの大会（デュッセルドルフ国際ユース大会）で結果を出すために、選手の絞り出しをした。今回、３回目の合宿と試合で、ようやくチームらしさが出てきた」と、早稲田一男監督が語ったように、組織の構築が着実に進んでいることが窺い知れた。
 
　一方でJ選抜は前日に集まったばかりとはいえ、「選手が意欲的に過ごし、ピッチで躍動してくれた。球際、アグレッシブさを体現してくれた」と、大槻毅監督が語ったように、１～２学年上の高校選抜に対し、先制されても崩れることなく、粘りと技術の高さを示した。
 
　目指すものがあるチームと、ないチームの対戦ではあったが、選手たちのモチベーションの高さによって、この試合が双方にとって意義あるものとなったことは間違いない。
 
取材・文：安藤隆人（サッカージャーナリスト）