特に日本のゴールキック時、カナダはGK大迫敬介以外のすべてをマンツーマンでかみ合わせてくるため、前線も浅野、伊東、中村がカナダの３バックと同数になる。序盤はプレッシングにつかまる場面が多かった日本だが、３対３の前線を脱出口に設定すると、ロングボールによるプレス回避が明確になった。
浅野はよくボールをつなぎ、南野拓実や田中碧のセカンドボールへの反応も早かった。ドイツ戦ほど鮮やかなプレス回避ではないが、これはこれで定石。選手起用として浅野と南野を組ませたことも、カナダの特徴を分析しつつ、背後をねらう攻略法を意識したのだろう。
付け加えるなら、左SBと左CBに左利きの中山雄太、町田浩樹を起用したことも、浅野に対する高精度のボールが供給される大きな要因だった。
日本は強かった
日本は強かった。ミスは決して少なくなかったが、素晴らしい試合だった。カナダの強みであるセットプレーを防ぎ切ったのも見事だ。
ただ正直、期待したカナダだったかと言えば、肩透かしだったのは否めない。試合中、筆者の席の近くにはカナダの映像分析チームがカメラを構えていたが、前述した右サイドの３人が連係プレーを見せただけで、響き渡るほどの大きな拍手を送っていた。練習通りだったのか。
カナダは監督交代の直後でもあり、そういう段階なのだろう。自国開催のＷ杯まで３年もある。今回は日本を分析して対策を立てるというより、自分たちの成長やテストに主眼を置いて来日した印象だ。
次のチュニジアはどうだろうか。韓国には０－４で敗れたようだが、国際親善試合は２戦目こそコンディションが上がる。日本が昨年６月に０－３で敗れたリベンジを果たすべき、相手であってほしい。
取材・文●清水英斗（サッカーライター）
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