オランダ人記者たちは、ヒメネスと上田の共存を高く期待しており、私は彼らからそのことについて聞いてきてほしいと依頼を受けていた。上田にその旨を伝えると、アヤックス戦でのプレーについて解説を交えてコメントしてくれた。

「アヤックス戦では左（ウイング）で出ました。フェイエノールトで練習したこともなく、初めてプレーです。ポジション（の取り方）が分からない部分があったので、自分の感覚でプレーしました。僕はもともと（鹿島で）２トップだったり、前のチーム（セルクル・ブルージュ）でもシャドーをやったりしたので、FWを見ながら動き出しをするとか好きではあります。ああやって相手を引っ張ってくれる選手（ヒメネス）がいるとやりやすいですね」

　アヤックス戦後、ヒメネスは上田に関してリスペクトを込めたコメントを残した。リスペクトとは片方から生まれるものではない。お互いにその気持ちがなければヒメネスも、あのような言葉を残さなかったのではないか。
 

「僕も、もちろんリスペクトしてます。僕はあまりそういう（＝ランキング）のを見てないのでよくわかりませんが、あのペースだとほぼダントツでリーグの得点王じゃないですか？（※１位ヒメネス（フェイエノールト）／10ゴール、２位パブリディス（AZ）／９ゴール、３位デ・ヨング（PSV）／６ゴール）　そこはFWとしてリスペクトするところです。

　仮に僕が出ていたら、と思うと、そうはならなかったのかなと思います。彼から盗めるところは盗みたい。自分が成長する糧にできると思います。彼から吸収できる部分は多くある。それは、フェイエノールトのFWとしてのプレースタイルもそうだし、彼自身が持つ武器もそう。僕にないものをたくさん持っていると思うので、そこは吸収していきたいと思います」

　昨シーズンの前半戦はダニーロ（現レンジャーズ）がCFとしてチームを引っ張る間、ヒメネスは力を蓄え後半戦の大ブレイクにつなげた。良きライバルとして、良きチームメイトとして、ヒメネスと上田の関係がより深まっていくことに期待を持てそうだ。

取材・文●中田 徹

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