一方の伊東にしても、縦へのスピードと矢のような推進力は世界トップクラス。三笘と比べても、その点では上回るだろう。
そんな彼もまたカタールW杯のドイツ戦では右MF、左右のシャドウ、右ウイングバックと複数のポジションをこなし、ほぼ守りに終始。ゴールに迫る場面を作れなかった。だからこそ、今回は本来の自分らしさを見せつけたいと願っているに違いない。
「自分的にもワールドカップのドイツは一番強かったなと感じます。後半は勢いを持ってプレッシャーをかけられたので良い場面もあったと思いますけど、前半はほぼ何もやらせてもらえなかったという印象ですね。
前からのプレッシャーもあまりハマらなかったし、ブロックを引いて何とか守ったけど、奪ったボールとかを簡単に相手に取られてしまうのが、前半はすごく多かった。そういうところで1個剥がして、空いてる逆サイドとかに出せればチャンスになる。自分たちの攻撃の時間も長くなると思ってます」と、伊東は前回の反省を踏まえつつ、奪った後を大事にすることが勝負の明暗を分けると考えている様子だ。
「イナズマ純也」の異名を取る彼と相対するドイツの左SBは今回、ロビン・ゴセンス(ウニオン・ベルリン)が有力。ただ、誰が来たとしても、伊東がトップスピードに乗ってグイグイと押して行けば、絶対に止められない。そういう形を増やしたほうが日本にとっても得策だ。
三笘が敵を引き付け、伊東が逆サイドから侵入してくる形を含め、フィニッシャーとしての伊東はかなりの破壊力がある。第二次森保ジャパン発足後は、6月のペルー戦の1点しか取っていないが、今季フランス1部でも開幕のマルセイユ戦でさっそく1点目をゲット。それ以外にもチャンスに絡んでいて、そろそろビッグゴールを奪いそうな予感も漂うのだ。
“奪った後”が重要なポイントに
「6月シリーズでは得点が取れましたし、攻撃でゴールまで行く、シュートまで行くシーンは増えている。それをドイツにも見せられれば、自分たちの成長を感じられると思います」と伊東も野心を燃やしている。
いずれにせよ、三笘&伊東の両ワイドは紛れもなく日本の攻撃の生命線。彼らが躍動できる時間が長ければ長いほど、日本は勝利に近づく。
2人が低い位置に押し下げられる展開を極力避けて、攻守の切り替えで徹底的に勝負していけば、カタールの時のような必殺カウンターがさく裂することも十分にあり得る。むしろ、日本がゴールを奪うとしたら、速い攻めしかないかもしれない。
そんな展開に持ち込むべく、三笘と伊東には賢く効率的なプレーを求めたいところ。大いなる輝きを放つ日本屈指のウイングの爆発を楽しみに待ちたい。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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