タケが指揮官の決断の正しさを証明するのに時間はかからなかった。９分にブライス・メンデスのスルーパスで抜け出すと、ゲインしたアドバンテージを失ったように見えたも束の間、天使のようなゴールを決めた。

　最近のタケにとってはいつもの光景だ。スタジアムを埋め尽くした多くのファンは得点を決めることを信じて疑わなかったが、その先頭を走っていたのがミケル・オジャルサバルで、ネットを揺らす随分前から両手を高く掲げてゴールを祝っていた。

　その後も試合はソシエダのペースで進んだが、35分にGKから一瞬の隙を突かれ、ロビン・ル・ノルマンのオウンゴールで同点に追いつかれる。ただでさえ開幕から３戦連続引き分けた後に臨んだ一戦だ。スタジアムに嫌なムードが漂いかけたが、再び流れを引き戻したのもタケだった。44分に鋭くカットインしてから、左足でファーサイドへ巻いたシュートを放つと、カルロス・ネバに当たってディフレクトしたボールはそのままゴール左隅に収まった。
 

　この２点目は、相手のプレッシャーを受ける中、ギリギリまで引きつけたうえでボールを左に持ち換えて縦パスを入れたGK、アレックス・レミロのフィード、そのプレーによって生じたスペースを突いて一気に持ち上がったマルティン・スビメンディの約50メートルの独走ドリブルと、こぼれ球を拾ったアマリ・トラオレがパスを送り、タケが左足を振り抜くまでの展開も素晴らしく、アルグアシル監督も満足だったに違いない。

　後半もタケのショーは続いた。59分にペナルティエリア深くに進入して折り返しをメンデスに合わせ、ズビメンディが右足で狙い澄ました一撃を沈めた３点目を引き出した。76分にもオジャルサバルに合わせれば即ゴールというパスを送るも、ミキ・ボッシュのクリアがオウンゴールとなり、アシストは”‟未遂”に終わった。

　その直後にアルグアシル監督はタケの交代を決断した。オジャルサバルとアンデル・バレネチェアと一緒にピッチを後にする中、スタジアム全体に万雷の拍手が降り注ぎ、ファンは新たな王に別れを告げた。

　今やタケはラ・リーガで最も決定的な仕事を見せ、なおかつ最も高い局面打開力を備えた選手の一人だ。

　マドリーの関係者は、一体どうすれば呼び戻すことができるかのか頭を悩ませていることだろう。昨シーズン、20ゴールに絡みたいと目標を宣言していたタケはまだ夏は終わっていないというのに、その数は４に達している。

取材・文●ミケル・レカルデ（ノティシアス・デ・ギプスコア）
翻訳●下村正幸

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