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「日本人ばっかり出して」「弱いじゃないか!」ファンが不満を抱いたSTVVが100周年で挑む“ユース育成改革”の全容~立石敬之CEOに訊く【現地発】

カテゴリ:海外日本人

サッカーダイジェストWeb編集部

2023年09月07日

「STVVはこの夏、全部で40人引き抜かれた。だけど彼らは…」

CEOとして多忙を極める立石氏。100周年となるメモルアルシーズン、STVVを次なる進化へと導く。写真:中田徹

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――STVVは“エリート1”に入るための投資を積極的にはしないんですか?

「現実的でないと思います。昨季の“エリート1”は12クラブ。今季は10クラブ。それから8クラブにするんですよ」

――なんでそこまで上位クラブを絞り込みたいのでしょうか?

「オランダのアヤックス、PSV、フェイエノールト、ポルトガルのベンフィカ、スポルティング、ポルトみたいになりたいんですよ。ベルギーリーグは外資が入ってきて、どこが優勝するか分からない。ビッグクラブのヒエラルキーも崩れつつある。そうなると若いタレントが各クラブにバラついてしまう。国内リーグとしてのレベルは上がっているけれど、欧州カップ戦(CL、EL、UECL)で戦う時に戦力が分散されてしまう。だから、ベルギー国内のトップを3~4チームにまとめたいんです」

――競争力のあるチームを欧州カップ戦に送り出して、リーグ係数を稼ぎたいという思惑もあるんでしょうね。

「そうです。ベルギーリーグの放映権が上がることにもつながるとか、いろいろなことを考えているようです。

 ただ、議論がないままビッグクラブの政治力の強さによって進んでいる。“エリート1”を8クラブに絞り込んで、彼らのセカンドチーム(※)をベルギー2部リーグや3部リーグに入れてしまえば、若い選手たちはみんなそこに行くだろうと。実際、すでにそういう流れが生まれているんですが、選手を囲い込みすぎてしまって、いまは経営が難しくなっているんです。2チーム分の選手とプロ契約を結ぶわけですから。そして何十人と若い選手を抱え込んでもトップチームに上がれるのは、ひとりかふたり。結局、『その他大勢』がいっぱい出てきてしまう」

(※今季のベルギー2部リーグにはアンデルレヒト、クラブ・ブルージュ、スタンダール、ヘンクのセカンドチームが参戦している)
 
「実はSTVVはこの夏、U-7から全部含めて40人引き抜かれたんです。だけどそこで上がれなかった子が、またうちに戻ってくるんですよ。(近隣の強豪クラブである)ヘンクの育成もたくさんタレントを抱えていて、17歳くらいのときに上がれそうもないからSTVVに来たがる選手もいる。『クラブは育成のこととか良いことを言うけれど、結局昇格するのは難しい。だけどSTVVなら試合に出してくれる』という流れを作ろうと思っています。
 
 アカデミーのためのバスを買おうと思っているんです。STVVは“エリート1”じゃないから国内リーグでは強いチームとの試合がなくなってしまった。それなら国外のシャルケ(ドイツ)やPSVに行って練習試合を組んだり、国際サッカーフェスティバルに参加する。そういう機会を増やせば、別に“エリート1”にいる必要もない――。そんな話をクラブ内でしています」

――逆境を逆手に取るわけですね。

「私たちが政治力のないなか、ルールは変わっていく。そこで早く対応した強化担当・GMは強いと思う。アヤックスのような王道は歩めないけれど、彼らの隙を突くことはできる。STVVが彼らと同じブランディングをする必要はないんです。

『STVVは地元出身のアカデミー育ち、他のクラブで出場機会をなくしたベルギー人選手、他のアカデミーで昇格できなかったベルギー人の若手を獲ってきて、日本人と良いチームを作っている』というブランディングでも面白いと思います。基本的には(かつてのような)多国籍軍団にしないでね。そうなると地元のファンも喜ぶし、チームワークとアイデンティティが作りやすくなる。ただ、それだけでは勝てないから、要所にパワーのあるアフリカ系とか補強する」
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