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「未月とトモニ」という思いが詰まった逆転劇。ヴィッセル山口蛍は、最後までピッチを走り続けた

カテゴリ:Jリーグ

白井邦彦

2023年09月04日

「助けられるところは今まで以上に」

勝てば首位奪還。神戸はこの好機を逃さず、京都に2-1で逆転勝ちした。写真:梅月智史

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 試合は開始6分に京都が原大智のゴールで先制する。さらに11分頃にはルーズボールを豊川雄太が拾って追加点のチャンスを迎えるが、神戸の守護神・前川黛也の神セーブで切り抜けた。

 そして18分、神戸は今季リーグ戦初先発の川﨑修平が、監督の期待に応えて同点ゴールを挙げる。これで勢いを増した神戸は京都ゴールを何度か脅かしたが得点には至らず。逆に前半終了間際には、京都の松田天馬にボレーシュートによる決定機を作られたが、ここも前川が立ちはだかった。

 1-1で迎えた後半の52分、神戸が逆転に成功する。途中出場のジェアン・パトリッキが初瀬亮のロングフィードに抜け出し、ゴール前までボールを運んでフィニッシュ。これが決勝点となって神戸が勝点3を積み上げ、首位返り咲きに成功した。

 そんな展開の中で感じたのは、山口のプレーエリアが広がっていたこと。ゾーンディフェンスを採用している神戸では、選手が持ち場を離れることを「良し」とはしないのかもしれない。

 だが、そのリスクを犯してでも山口はプレーエリアを広げる必要があったのだろう。試合後、山口に尋ねた。齊藤が抜けて役割が増えたと思われるが、何を意識してプレーをしているのかと...。
 
「まぁ、あまり考えてはいないですけど、僕がやらなくてもいい守備のタスクなどを、未月がいた時はお互い助け合ってやっていた部分があります。(そういう部分が)やはり今は少し欠けているのかなと思う。

 これから誰が(齊藤が務めたアンカーポジションで)出るのかは分からないですけど、いるメンバーで変わらずにやっていきたい。自分が持っているものはチームにプラスして、助けられるところは今まで以上にやっていきたいと思います」

 自分の持ち場から離れて守備をする場合、やはりスプリントが必要になるだろう。山口のスプリント回数が増えたのは、齊藤不在が関係していると思われる。

 当然、スプリントが増えれば疲労も段違いに蓄積される。それでも山口は最後までピッチを走り続けた。もちろん、山口だけではないが、この京都戦に関しては「未月とトモニ」という山口の思いが詰まった一戦だった。

取材・文●白井邦彦(フリーライター)

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