アタッカー陣はパスを引き出す動きに乏しく…。
インテルのサッカーは、攻撃と守備がややちぐはぐなところがある。
守備では、少なくとも8人(4DF+4MF)、できればCFのマウロ・イカルディを除く9人をボールのラインより後ろに戻して低い位置に堅固なブロックを構築し、自陣でボールを奪うという手堅い戦術をとる。
また攻撃では、あまり速攻にこだわらず、自陣からパスをつないでビルドアップし、最後の30メートルはイカルディやステバン・ヨベティッチ、アデム・リャイッチ、イバン・ペリシッチといったアタッカー陣の個人能力に局面打開を委ねている。
にもかかわらず、ビルドアップを担うべきCB、そしてセントラルMFはいずれも十分なゲームメイクのセンスとテクニックを備えておらず、良い形で前線にボールが届く機会はきわめて少ないのだ。
そのうえ攻撃陣も、2ライン(DFとMF)間でマークを外してパスを引き出すオフ・ザ・ボールの動きが乏しく、ヨベティッチやリャイッチは足下に、イカルディは裏のスペースにボールを要求するばかり。
マンチーニ監督が「攻撃陣は組み立てからフィニッシュまでもっと仕事をしなければダメだ」というのも、まさにその点を指摘している。
「前線で待っているだけでは何の役にも立たない」という言葉が、キャプテンに指名するほど期待をかけながら、それに見合った仕事をせず、ボールが来ないのを嘆くばかりのイカルディに向けられているのは明らかだ。
しかしもちろん、攻撃陣がタスクをしないのも、それができるようにトレーニングするのも、他の誰でもないマンチーニ自身の責任である。
指揮官がこの問題をピッチ上で解決できない限り、インテルが不振を脱却するのは難しいだろう。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
片野道郎/1962年生まれ、仙台市出身。95年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させる。『ワールドサッカーダイジェスト』では、現役監督のロベルト・ロッシ氏とのコラボによる戦術解説や選手分析が好評を博している。
守備では、少なくとも8人(4DF+4MF)、できればCFのマウロ・イカルディを除く9人をボールのラインより後ろに戻して低い位置に堅固なブロックを構築し、自陣でボールを奪うという手堅い戦術をとる。
また攻撃では、あまり速攻にこだわらず、自陣からパスをつないでビルドアップし、最後の30メートルはイカルディやステバン・ヨベティッチ、アデム・リャイッチ、イバン・ペリシッチといったアタッカー陣の個人能力に局面打開を委ねている。
にもかかわらず、ビルドアップを担うべきCB、そしてセントラルMFはいずれも十分なゲームメイクのセンスとテクニックを備えておらず、良い形で前線にボールが届く機会はきわめて少ないのだ。
そのうえ攻撃陣も、2ライン(DFとMF)間でマークを外してパスを引き出すオフ・ザ・ボールの動きが乏しく、ヨベティッチやリャイッチは足下に、イカルディは裏のスペースにボールを要求するばかり。
マンチーニ監督が「攻撃陣は組み立てからフィニッシュまでもっと仕事をしなければダメだ」というのも、まさにその点を指摘している。
「前線で待っているだけでは何の役にも立たない」という言葉が、キャプテンに指名するほど期待をかけながら、それに見合った仕事をせず、ボールが来ないのを嘆くばかりのイカルディに向けられているのは明らかだ。
しかしもちろん、攻撃陣がタスクをしないのも、それができるようにトレーニングするのも、他の誰でもないマンチーニ自身の責任である。
指揮官がこの問題をピッチ上で解決できない限り、インテルが不振を脱却するのは難しいだろう。
文:片野道郎
【著者プロフィール】
片野道郎/1962年生まれ、仙台市出身。95年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させる。『ワールドサッカーダイジェスト』では、現役監督のロベルト・ロッシ氏とのコラボによる戦術解説や選手分析が好評を博している。