罪には問われなかったが、ネイマールも...
「過去に暴行で実刑判決を受けた人間を監督にするのか!」
ロビーニョの時同様、まずはコリンチャンスの女性サポーターと女子選手が騒ぎ始め、それは男性サポーターやメディア、スポンサーにまで波及した。就任会見で「こんなビッグチームを率いるのは夢だった」と喜んでいた彼は、結局コパ・ド・ブラジルの1試合を率いただけで、チームを去ることとなった。偶然にもロビーニョと同じ就任6日目のことだった。最後の日、選手たちは彼をハグして泣いていた。クカの解任は、ロビーニョの事例が無関係ではないだろう。
いま彼はどこのチームを率いることもできず、家にこもったままだという。クカはいつかブラジル代表の監督になるのではと言われていた才能ある監督だっただけに、残念な結果となってしまった。
ロビーニョの時同様、まずはコリンチャンスの女性サポーターと女子選手が騒ぎ始め、それは男性サポーターやメディア、スポンサーにまで波及した。就任会見で「こんなビッグチームを率いるのは夢だった」と喜んでいた彼は、結局コパ・ド・ブラジルの1試合を率いただけで、チームを去ることとなった。偶然にもロビーニョと同じ就任6日目のことだった。最後の日、選手たちは彼をハグして泣いていた。クカの解任は、ロビーニョの事例が無関係ではないだろう。
いま彼はどこのチームを率いることもできず、家にこもったままだという。クカはいつかブラジル代表の監督になるのではと言われていた才能ある監督だっただけに、残念な結果となってしまった。
ブラジルの名選手で暴行罪で訴えられたといえば、ダニ・アウベスが記憶に新しいだろう。バルセロナ市内のクラブのVIPルームの化粧室で、23歳の女性に性的暴行をしたとして彼は起訴された。
彼はスペインの警察に自ら出頭したが、そのまま拘留、まだ刑が確定していないにもかかわらずスペインで一番セキュリティーの強いブリアンス2という刑務所に留められている。裁判までの期間、保釈金を払って仮釈放されることを望んだが認められない。スペイン警察は彼がロビーニョのようにブラジルに逃げ帰ってしまうことを恐れたのだ。
残念ながら、こうした暴行事件で起訴されるブラジル人選手は後を絶たない。そのリストは年々伸びている。ネイマールも罪には問われなかったが訴えられたことがあるし、かつてローマなどで活躍したマンシーニもロナウジーニョのパーティーで知り合った女性に暴行したと罪に問われた。もちろんこうした問題はブラジル選手だけではないが、ブラジル人は大物が多いだけに、どうしても目立ってしまう。
私は職業柄チームや選手の側にいることも多いが、確かに彼らのホテルには毎晩多くの女性たちが選手狙いでたむろしている。ロナウドの家に短期間だが滞在していた時には、ほぼ毎日違う女性が家にいた(もちろんこれは同意の上だ)。
脇の甘いブラジル人選手たちは、もう少し自覚を持つ行動すべきだ。そうしてこなかったのは、結局それを許してしまう社会にも責任があった。特にブラジルでは法や倫理よりもサッカーを優先してきた。チームのためにいいプレーをすれば、私生活はどうであれ、それでいいではないかと。
しかし今はそれが変わりつつあることを感じている。ロビーニョやクカなどの場合は法が許しても世の中が許さなかった。彼等には厳しいことだが、私は良かったと思っている。自分のキャリアや、人生までもが大きく左右されてしまうとわかれば、選手らも少しは注意するようになるのではないだろうか。甘い考えで、せっかくの才能を無駄にする選手が一人でも減ってくれることを望む。
取材・文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子
【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。
彼はスペインの警察に自ら出頭したが、そのまま拘留、まだ刑が確定していないにもかかわらずスペインで一番セキュリティーの強いブリアンス2という刑務所に留められている。裁判までの期間、保釈金を払って仮釈放されることを望んだが認められない。スペイン警察は彼がロビーニョのようにブラジルに逃げ帰ってしまうことを恐れたのだ。
残念ながら、こうした暴行事件で起訴されるブラジル人選手は後を絶たない。そのリストは年々伸びている。ネイマールも罪には問われなかったが訴えられたことがあるし、かつてローマなどで活躍したマンシーニもロナウジーニョのパーティーで知り合った女性に暴行したと罪に問われた。もちろんこうした問題はブラジル選手だけではないが、ブラジル人は大物が多いだけに、どうしても目立ってしまう。
私は職業柄チームや選手の側にいることも多いが、確かに彼らのホテルには毎晩多くの女性たちが選手狙いでたむろしている。ロナウドの家に短期間だが滞在していた時には、ほぼ毎日違う女性が家にいた(もちろんこれは同意の上だ)。
脇の甘いブラジル人選手たちは、もう少し自覚を持つ行動すべきだ。そうしてこなかったのは、結局それを許してしまう社会にも責任があった。特にブラジルでは法や倫理よりもサッカーを優先してきた。チームのためにいいプレーをすれば、私生活はどうであれ、それでいいではないかと。
しかし今はそれが変わりつつあることを感じている。ロビーニョやクカなどの場合は法が許しても世の中が許さなかった。彼等には厳しいことだが、私は良かったと思っている。自分のキャリアや、人生までもが大きく左右されてしまうとわかれば、選手らも少しは注意するようになるのではないだろうか。甘い考えで、せっかくの才能を無駄にする選手が一人でも減ってくれることを望む。
取材・文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子
【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/ブラジル・サンパウロ出身のフリージャーナリスト。8か国語を操り、世界のサッカーの生の現場を取材して回る。FIFAの役員も長らく勤め、ジーコ、ドゥンガ、カフーなど元選手の知己も多い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授としても大学で教鞭をとる。