【ブンデス現地コラム】より負けないチームに!?――“ペップ後”のバイエルンを展望する

カテゴリ:メガクラブ

中野吉之伴

2016年01月01日

他クラブにとってバイエルンが脅威となることに変わりはない。

適材適所の登用で、チームから最大限の力を引き出す術を身につけているアンチェロッティ。ペップの遺産を活かしながら、より強固な集団を作り上げることができるか。 (C) Getty Images

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 戦い方に関してはどうだろうか。これまでの仕事ぶりから推測すると、アンチェロッティが手がけるのは“バランスの整理”だ。
 
 バランスとは、攻守やポジションにおける各選手の関係や役割を50/50にすることではないし、あらかじめ準備された型にはめ込むことでもない。チームの特徴を完全に把握したうえで、強みを活かし、そこから生じうる歪みを取り除いていくという手法が行なわれるだろう。
 
 相手のカウンターへのリスクマネージメントで、前任者とアンチェロッティでは明らかな違いが見られるだろう。
 
 グアルディオラはポゼッション率を高め、危険なボールロストを回避することで、相手のカウンターそのものの無効化を狙う。ボールを失うと、相手の起点となる選手に素早くプレスをかけて潰しにいくという彼の信奉するプレーの精度は、かなり高くなっている。
 
 常に100点を目指すグアルディオラは、誰にも真似できない完璧なサッカーを見せてくれることもあるが、時に脆さを見せることもある。
 
 少しのズレでプレスがかいくぐられると、一気にゴール前まで運ばれるリスクを背負っているのも事実だ。CLのアーセナル戦、国内リーグではボルシアMG戦では、そこを突かれて敗れ去った。
 
 対してアンチェロッティは、より現実的な対処を施すはずだ。
 
 そのため、ハビ・マルティネスのような守備能力と戦術理解の高い選手を守備的MFで起用することが予想されるし、プレスにいく局面とリトリートで守備陣形を整える状況を、よりはっきりと線引きするように取り組んでいくはずだ。
 
 また、ボアテングの相棒としてもうひとり、ワールドクラスのCBを補強することも考えられる。それでいて、堅守速攻というありきたりの手堅いサッカーに収まらないよう、攻撃では選手個々のクオリティーを最大限引き出す手腕も見せてくれるはずだ。
 
 いずれにせよ、他クラブにとってバイエルンが脅威なのは変わらない。なぜなら、今以上に負けないチームとなる可能性は、十分ありうるのだから。

文:中野吉之伴
 
【著者プロフィール】
中野吉之伴/ドイツ・フライブルク在住の指導者。09年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの実地研修を経て、現在はFCアウゲンのU-19(U-19の国内リーグ3部)でヘッドコーチを務める。77年7月27日生まれ、秋田県出身。
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