「自分は“確変”するタイプ」と語る李が、天皇杯の主役に名乗りを挙げる。
思い出すのは、今年の夏に岡崎慎司がプレミアリーグのレスターに移籍が決まった際に、日本人FWがイングランドで活躍するためになにが必要かを問いかけた時のことだ。
「イングランドでは、プレーする前からブーイングをされるようなことはないから」
プレーにおける技術的な話もしてくれたが、彼がやや自嘲気味に話した言葉は今でも印象に残っている。それが浦和で自身が感じていることだというのは、痛いくらいに伝わってきた。
そこに大きな変化が生まれた。本人が「10月くらいかな」と語るので、ごく最近だ。
「(この状況が)なぜかと自問した時に、自分のほうこそ歩み寄っていないから、相手も歩み寄って来ないんだと思った。まず、自分が浦和を好きになろうと思った瞬間に、180度世界観が変わった。浦和はすごく独特だけど、それが逆に好きになった。それが、サッカーをやっていても、自分のプレースタイルを出せている今につながっていると思う。今は、レッズのためにも、浦和(という地域)のためにもサッカーをやっている」
秘めていたちょっとした反発心を後ろに置き、自分の気持ちを変化させた。自身が「180度変わった」というくらいだから相当なものだ。
だが、心境の変化を語った時の李の表情は、彼が浦和に来てから見たなかでこれ以上ないものだった。その場の思いつきで並べた言葉であるわけがない。葛藤の末に、彼なりの浦和との付き合い方を見出したと言えるのだろう。
準々決勝から決勝は、中2日での3連戦になる。こうした短期決戦は、勢いのあるラッキーボーイ的な存在が決め手になる場合が少なくない。李は、その主役に名乗りを上げる。
「調子が上がってきたなかで結果が出ると、もっともっと上がっていく。やっぱり、ヒーローが出なきゃいけない。自分がこの大会のヒーローになるつもり。この大会を自分の大会にしたいという思いで臨んだし、次の試合も臨む」
元より、「自分は“確変”するタイプ」と語る李だけに、この3連戦の初戦で結果を残したことは大きい。2006年以来、国内3大タイトルから遠ざかる浦和と、30代のスタートを切った李にとって、大きなターニングポイントになる可能性が十分にある。
まずは29日の柏との準決勝。”遅れてきたヒーロー、ここに見参”とばかりに、上昇気流に乗るストライカーが、元日決勝へ浦和を導いていく。
取材・文:轡田哲朗(フリーライター)
「イングランドでは、プレーする前からブーイングをされるようなことはないから」
プレーにおける技術的な話もしてくれたが、彼がやや自嘲気味に話した言葉は今でも印象に残っている。それが浦和で自身が感じていることだというのは、痛いくらいに伝わってきた。
そこに大きな変化が生まれた。本人が「10月くらいかな」と語るので、ごく最近だ。
「(この状況が)なぜかと自問した時に、自分のほうこそ歩み寄っていないから、相手も歩み寄って来ないんだと思った。まず、自分が浦和を好きになろうと思った瞬間に、180度世界観が変わった。浦和はすごく独特だけど、それが逆に好きになった。それが、サッカーをやっていても、自分のプレースタイルを出せている今につながっていると思う。今は、レッズのためにも、浦和(という地域)のためにもサッカーをやっている」
秘めていたちょっとした反発心を後ろに置き、自分の気持ちを変化させた。自身が「180度変わった」というくらいだから相当なものだ。
だが、心境の変化を語った時の李の表情は、彼が浦和に来てから見たなかでこれ以上ないものだった。その場の思いつきで並べた言葉であるわけがない。葛藤の末に、彼なりの浦和との付き合い方を見出したと言えるのだろう。
準々決勝から決勝は、中2日での3連戦になる。こうした短期決戦は、勢いのあるラッキーボーイ的な存在が決め手になる場合が少なくない。李は、その主役に名乗りを上げる。
「調子が上がってきたなかで結果が出ると、もっともっと上がっていく。やっぱり、ヒーローが出なきゃいけない。自分がこの大会のヒーローになるつもり。この大会を自分の大会にしたいという思いで臨んだし、次の試合も臨む」
元より、「自分は“確変”するタイプ」と語る李だけに、この3連戦の初戦で結果を残したことは大きい。2006年以来、国内3大タイトルから遠ざかる浦和と、30代のスタートを切った李にとって、大きなターニングポイントになる可能性が十分にある。
まずは29日の柏との準決勝。”遅れてきたヒーロー、ここに見参”とばかりに、上昇気流に乗るストライカーが、元日決勝へ浦和を導いていく。
取材・文:轡田哲朗(フリーライター)