『クラブファースト』を忘れずに
今は監督業に邁進しているが、彼が2013年に古巣・磐田の強化部長に就任し、セカンドキャリアに踏み出した際には、そちらの方向に進むと考えた人も多かっただろう。
「いずれは鹿島アントラーズを常勝軍団に引き上げた鈴木満・元強化部長のようになるのではないか」という見方をする関係者も少なくなかった。それだけに、こうして地方のJ3クラブに赴いて、現場で奮闘する姿は意外にも映るのではないか。
「監督は前々からやってみたかったんですよ。ジュビロの強化部門で働いていた時は、サッカークラブの仕組みや強化・補強の難しさ、限られた予算の中でベストチームを作るお金の使い方、外部との関わり方を大いに学ばせてもらいましたけど、やっぱり現場を預かって、選手とともに戦っていくことが一番だなと感じたんですよね」と本人は本音を吐露する。
それでも、強化部の側に立って予算と折り合いをつけながら、可能な限り強いチームを作っていくというアプローチができる指揮官はそれほど多くない。今季J3で言えば、松本山雅FCの霜田正浩監督もそういった例に該当するが、服部監督も総合的なマネージメント力を持つ部分が1つの強みになっているはずだ。
「いずれは鹿島アントラーズを常勝軍団に引き上げた鈴木満・元強化部長のようになるのではないか」という見方をする関係者も少なくなかった。それだけに、こうして地方のJ3クラブに赴いて、現場で奮闘する姿は意外にも映るのではないか。
「監督は前々からやってみたかったんですよ。ジュビロの強化部門で働いていた時は、サッカークラブの仕組みや強化・補強の難しさ、限られた予算の中でベストチームを作るお金の使い方、外部との関わり方を大いに学ばせてもらいましたけど、やっぱり現場を預かって、選手とともに戦っていくことが一番だなと感じたんですよね」と本人は本音を吐露する。
それでも、強化部の側に立って予算と折り合いをつけながら、可能な限り強いチームを作っていくというアプローチができる指揮官はそれほど多くない。今季J3で言えば、松本山雅FCの霜田正浩監督もそういった例に該当するが、服部監督も総合的なマネージメント力を持つ部分が1つの強みになっているはずだ。
「クラブが目ざす方向性を視野に入れつつ、『自分のスタイル』を確立させて、そのうえで結果を出せば、監督としても一定の評価を得られるのかと考えています。Jリーグ30年が経過し、長年、複数クラブを率いているベテラン監督が何人かいますけど、そういう人には『自分の色』があるんだと思います。
今の福島の場合、現場のことだけを考えていればいいわけじゃなくて、スポンサーやメディアからの依頼に応じて選手を協力させたりしなければいけないこともある。地方クラブには独自の事情もありますし、そこに協力しながら、チームを強くしていくのも僕の仕事なんですよ」
しみじみとこう語る服部監督は今、『クラブファースト』を忘れずに、現場をマネージメントしている。“農業部”の活動協力はその一例。東日本大震災後の農業の風評被害解消のため、2012年から手掛けているこの活動では、リンゴ、ブドウ、桃、洋ナシ、アスパラの栽培のため、選手数人が5~11月にかけて午後の数時間、畑仕事や収穫、発送などの作業に駆り出される。
5月20日の天皇杯1回戦・ノースアジア大戦(4-0)直前も、リンゴ部長の大武峻らが作付け作業に出向いたという。
J1クラブの感覚であれば「練習後に選手が肉体労働をすれば、フィジカルコンディションに支障が出る」という危惧を抱くだろう。が、地方クラブには地域活性化のためにアクションを起こさなければいけないこともある。
服部監督もそういった事情を理解しながら、チーム強化を進めている。この経験は「服部色」の確立につながるはずだ。人としての視野や経験値が広がった指揮官の今後の逆襲が楽しみでならない。(次回に続く)
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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今の福島の場合、現場のことだけを考えていればいいわけじゃなくて、スポンサーやメディアからの依頼に応じて選手を協力させたりしなければいけないこともある。地方クラブには独自の事情もありますし、そこに協力しながら、チームを強くしていくのも僕の仕事なんですよ」
しみじみとこう語る服部監督は今、『クラブファースト』を忘れずに、現場をマネージメントしている。“農業部”の活動協力はその一例。東日本大震災後の農業の風評被害解消のため、2012年から手掛けているこの活動では、リンゴ、ブドウ、桃、洋ナシ、アスパラの栽培のため、選手数人が5~11月にかけて午後の数時間、畑仕事や収穫、発送などの作業に駆り出される。
5月20日の天皇杯1回戦・ノースアジア大戦(4-0)直前も、リンゴ部長の大武峻らが作付け作業に出向いたという。
J1クラブの感覚であれば「練習後に選手が肉体労働をすれば、フィジカルコンディションに支障が出る」という危惧を抱くだろう。が、地方クラブには地域活性化のためにアクションを起こさなければいけないこともある。
服部監督もそういった事情を理解しながら、チーム強化を進めている。この経験は「服部色」の確立につながるはずだ。人としての視野や経験値が広がった指揮官の今後の逆襲が楽しみでならない。(次回に続く)
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