ここまで出場機会が無いなかでも、「練習自体はモチベーションを落とさずにしっかりした気持ちを持ってやれていました。なかなか試合に出られなかった選手たちが次々と試合に出て、というところを見せてくれたので、我慢強くじゃないですけど、自分がやるべきことはしっかりやってきたつもりではあります」と、全力で練習に取り組んでいた梁。その姿を伊藤監督もしっかり見ていた。

「初めてメンバーに入りましたけど、ここ１か月、２か月、すごく良いパフォーマンスをしていました。今回、こういうチャンスで彼が入ってきたなかで、こうやってホームで勝てるところは、ベガルタ仙台の象徴というか、彼の持っているものは素晴らしいと感じました」と、梁の姿勢に対し、伊藤監督は賛辞を送った。

　奇しくも今日の得点者は、鳥栖でチームメイトだったMF相良竜之介。「彼自身も出たり出なかったりで、いろいろ思うところはあったと思いますが、勝ちにつながる１点を決めてくれました。これからどんどん乗ってくれると思いますし、乗ってくれないと困る存在なので、これからに期待したいですね」と、スーパーゴールを決めた21歳年下の若手にエールを送るところも、ベテランらしい心配りだ。
 

　久々のユアスタでのプレーを楽しみ、勝利の喜びを噛みしめた梁だが、慢心せず、次を見据える。

「勝ったあとの試合がすごく大事だと思いますし、またホームでやれるので、またみなさんの声援をしっかり受けながら戦いたいと思います。今日の試合では、まだまだ危ない場面、甘い場面がすごくあると思うので、今日の勝ちに満足せず、次もしっかり勝ちにこだわって戦っていきたいなと思います」

　ここまで12位と波に乗り切れないチームを救うべく、仙台の10番を背負うレジェンドは、今後も全力を尽くす構えだ。

取材・文●小林健志（フリーライター）

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