惜しくも準決勝でイラクにPK負けを喫し、もうひとつの目標であるアジア王者の座は逃した。中２日の連戦で疲労が溜まり、本来の動きが見せられなかったとはいえ、勝負どころで勝ち切れなかったのは課題として残る。

　だが、今大会で得られた収穫は多い。試合を重ねるごとに逞しくなり、過去の体験を上手く使いながら戦ったことは大きな成長だ。プレー面でもぶっつけ本番を言い訳にせず、大会期間中にアジャストさせながらチームとして一致団結。「全員が腐らずにやっているのも、このチームの強さのひとつ」と北野颯太（C大阪）が振り返った通り、どんな状況でもチームのために戦う姿勢を見せられたのはプラスの材料だ。

　準々決勝では累積警告で出場停止だった松村晃助（横浜ユース）が、スタッフにできることを探して相談するなど、誰もがチームのために戦おうとする姿勢を持ち合わせていた。バラバラにならず、ピッチ内外で仲間のために戦う姿勢も今大会で培ったモノだろう。

　個人を見ても、松木や熊田といった選手が際立った活躍を見せ、田中隼人（柏）や山根陸（横浜）も献身的なプレーで勝利に貢献。何より新たな発見だったのが、飛び級でメンバー入りした髙橋仁胡（バルセロナ）だ。

　初出場となった第２戦で、初めて日の丸をつけて公式戦に挑んだ結果、重圧から思うようなプレーが見せられなかった。しかし、スタメンに抜擢された準々決勝では目覚ましいパフォーマンスを披露。的確なポジショニングやプレー強度はもちろん、スプリントも最後まで繰り返し、素晴らしいスルーパスを通す場面もあった。
 

　指揮官も「あの歳で日本代表の重みを感じられるのは素晴らしい。良かったね」と手放しで賞賛するなど、17歳とは思えないプレーで一気に左SBのレギュラー候補に名乗りを上げた。

　そうした突き上げが見られた点は今大会の収穫。とはいえ、まだまだ足りていない。実際にJ１でレギュラーを張っているのは松木のみで、さらなる活躍が求められる。本大会ではチェイス・アンリ（シュツットガルト）、福井太智（バイエルン）、中井卓大（レアル・マドリー）といった海外組の招集も可能性があり、今大会に出場した23名のうち、W杯に出場する21名の枠にどれだけ残るかは今後の活躍次第だろう。

　現状に満足せず、さらなる飛躍を遂げなければ、本大会での躍進は見えてこない。実りあるウズベキスタンでの２週間を経て、今大会のメンバーがどのような成長を遂げていくのか注目したい。

取材・文●松尾祐希（フリーライター）

【PHOTO】ドイツ＆ベルギーと対戦！ヨーロッパ遠征に挑むU-22日本代表メンバー23人を一挙紹介！

【PHOTO】ウルグアイ・コロンビアとの親善試合に挑む日本代表招集メンバーを一挙紹介！