背番号10をつけた男が去った分、岡崎は若いチームを引っ張らなければならない。ウェステルロー戦を０－１で落としたことで、シント＝トロイデンは10位に後退。ただ、下位POに回れる８位のサークル・ブルージュとはわずか勝点１差でまだまだ十分チャンスがある状況だ。

　右インサイドハーフに入っている以上、右ウイングバックの橋岡大樹との連係を強化し、外と中を上手く使いながらゴールを狙っていくのが効果的。26試合終了時点で総得点が26と下から３番目のチームにとっては、１点でも多くゴールを奪える環境を作るのが、PO圏内浮上の早道ではないか。

「自分の良さをどうやって出すのかを考えると、周りと連係してやることが大事。中盤で上手くパスをつないでいって、最後のところまで良い流れでいけるように周りを活かすのは自分の良い部分でもあると思うし、守備でインターセプトしてチャンスを作れるシーンも結構ある。そういうストロングを出せれば、もう少し良くなるかなと思います。

　特に（橋岡）大樹を上手く使えれば、自分の価値も上がる。彼がアシストできるような位置に入れたり、自分が外に開いてクロスを上げられる状況を増やしていけば、可能性はあるかなと。そういうサッカーの醍醐味をまだまだ学びたいという感じですね」
 

　どこまでも前向きに高みを目ざし続ける岡崎。今は「点にはあまりこだわっていない。サッカーが上手くなりたいっていう気持ちでやってます」と本人は言うが、今季まだ１ゴールというのはやはり少なすぎる。ポジションが中盤に下がり、バイタルエリアに侵入する回数が減った分、どうしてもチャンスは少なくなるが、得点を取ることでのし上がってきたこの男には、もっともっと泥臭く突き進んでほしい。

　欧州挑戦続行を強く求めるなら、やはりチームと個人の結果が必要不可欠。それは彼が誰よりもよく分かっていることだ。

「欧州では日本人が思っている以上に年齢の壁がかなりデカい。１年間出たり出なかったり、出ても活躍しなかったら、行く先が本当にない。それがこの世界」と強い危機感をつのらせつつ、岡崎は今季終盤の重要な1戦1戦の勝利を追い求めていく覚悟だ。

取材・文●元川悦子（フリーライター）

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