１回戦の北海戦は、決して満足の行く内容ではなかった。

　前半こそ北村の配球を中心に攻撃を構築し、37分には右サイドを突破したＭＦ幸偉風（３年）の折り返しをニアで利根がスライディングで突き刺して先制するなどペースを握ったが、後半は相手のカウンターの前に流れを掴み切れなかった。

　後半37分には北海のエースＭＦ桜庭平良（３年）に個人技での突破から同点ゴールを決められ、勝負の行方はＰＫ戦に委ねられた。国見は１人目の北村が失敗するが、ＧＫ今村泰斗（３年）が北海の３人目と７人目のキックを横っ飛びでセーブし、なんとか２回戦進出にこぎ着けた。

「反省の多い試合でした。特に後半は、僕らがボールを保持してゴール前でかっさらわれてカウンターを受けるシーンが多かった。僕らボランチとＦＷのスペースを間延びして開けてしまったので、相手に対して僕らボランチが行くのか、ＣＢが行くのかが曖昧になってしまった。そこは改善しないといけないと思います」（北村）

　勝利にも浮かれた様子は一切ない。今日は歴史を動かしたわけではなく、次のステージに進む権利を得たにすぎない。
 

　最後に北村は「強豪に戻したい気持ちはありますか？」との質問に対して、「それはありますが、それ以上に昔の国見と違うところをみんなに見せたい気持ちがあります」と、これまでとブレない言葉を発した。

　過去だけではなく、今を見てほしい。北村と国見の選手たちによる、初志貫徹の旅路は続く。

取材・文●安藤隆人（サッカージャーナリスト）

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