【松本】総走行距離やスプリント回数では上回るも… 痛感させられた「J1水準」

カテゴリ:Jリーグ

大枝 令

2015年11月07日

新潟との大一番で露呈した経験のなさ。「学ぶことの多い1年だった」と反町監督。

ホーム最終戦でサポーターに挨拶をする反町監督。J1でのシーズンを「学ぶことの多い1年だった」と振り返った。写真:徳原隆元

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 隙を埋めきれなかった要因には、経験値の少なさも挙げられる。開幕時点のメンバーでJ1出場試合数が100を上回っていたのは、田中と阿部のベテランふたりだけ。J1レベルの個人能力に対抗できるだけの蓄積がなかったほか、瀬戸際の状況でチーム全体が浮き足立った。
 
 その象徴とも言える試合が、第2ステージ・14節の15位新潟との勝点3で迎えた直接対決だった。思い切りの良さが出ずにミスが目立ち、ほとんどなにもできないまま0-2で試合終了のホイッスルを聞いた。強心臓の20歳前田でさえ「珍しく緊張していた。経験のなさとメンタルの弱さが出てしまった」と唇を噛んだように、大一番で力を発揮できなかった。
 
 反町監督も試合後の会見で「ここぞ、という時のゲームのあやを知っているチームと知らないチームの差。我々は雰囲気に呑まれ、90分間地に足がついていなかった」と振り返った。この黒星で残留圏内との勝点差が残り3試合で6となり、実質的にJ1残留は極めて厳しい状況となった。
 
 そして今節、必死の抵抗むなしく落城した。だが、なにも爪痕を残さなかったわけではない。第2ステージ・3節で国内最多17冠の鹿島に2-0と快勝したほか、「オリジナル10」の清水と「プロビンチャの先輩」甲府にはともに2戦2勝のダブルを食らわせた。豊田スタジアムで名古屋に挑んだ開幕戦を筆頭に、アウェーにも大勢のサポーターが押し寄せて鮮烈なインパクトを与えた。
 
 2009年に北信越リーグからJFLに昇格して以降、紆余曲折を経ながらも長足の進歩を遂げてJ1に参戦した今シーズン。右肩上がりの幸せな時間を終えてマイナス方向に振れる来季、クラブを取り巻く環境にどのような変化が訪れるのかは未知数だ。
 
 だがクラブ力も含めて「J1水準」を痛感させられた苦い記憶は、必ずや将来への糧になるだろう。
 
「我々はクラブ全体の力が足りない部分があった。それはJ1に来てみないと分からないことで、学ぶことの多い1年だった」
 
 就任4年目でJ1まで導いた指揮官はそう総括した。
 
取材・文:大枝 令(スポーツライター)
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