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懸命な2年間のリハビリ、叶わなかった1年でのJ2復帰…松本山雅の魂、田中隼磨が下した苦渋の決断【コラム】

カテゴリ:Jリーグ

元川悦子

2022年11月17日

訴え続けてきた「山雅流儀」とは――

故郷のクラブに在籍8年間。魂のこもったプレーでチームを力強く支え続けた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 2014年から8シーズン在籍した故郷のクラブを救うことができない現状に、彼は不甲斐なさと失望感も色濃く覚えたはずだ。

「山雅の流儀とは、規律を持って厳しく戦う姿。最後まで諦めず、全員で仲間のために、勝利のためにスプリントして、戦い抜くメンタリティ。それを取り戻したい」

 こう訴え続けたベテランSBにしてみれば、ともすればクラブの根幹に関わる重要な原点を忘れてしまったかのような戦いを目の当たりにする日々は、本当に辛く、切なかったはずだ。

 田中隼磨という偉大な選手が訴え続けてきた「山雅流儀」とは一体、何だったのか……。どうしたらそれを取り戻せるのか……。彼の引退を機に、クラブ、選手、サポーターがそれを改めて考え直すべき時期に来ているのではないか。そうしなければ、彼があえて苦言を呈し続けてきた意味がない。
 
 この10年間で2度のJ1昇格を経験し、最も成功した地方クラブとも評された松本山雅。その復活のためにも、隼磨がピッチ内外で示してきた行動や言動を今一度、思い出し、先々の方向性を見定める道しるべにしてほしいものである。

「今後のことはまだ考えていません。山雅の復活の手助けをしたいけど、少し考える時間も必要だと思います。指導者ライセンスもJFA公認B級ライセンスを受講中ですが、足の怪我もあって実技ができないので、なかなか難しい状況です。技術委員長のソリさん(反町康治=元松本監督)とも話して相談したい。いつかは松本山雅の監督になれたらいいなという気持ちもあります」

 そうやって気丈に前を向いた田中隼磨。エネルギーと野心に満ち溢れる男なら、セカンドキャリアにおいてもやれることは、たくさんあるはず。まずはラストマッチとなる相模原戦で、自身の雄姿を多くの人々に焼き付けること。そこに集中してほしいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)

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