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「前人未到のキャリア」を築いた鄭大世は日本サッカー界に何を残したのか。「道は作ったと自負している」

カテゴリ:Jリーグ

郡司 聡

2022年11月07日

「つくづく正解はないんだなと」

川崎時代の鄭大世。豪快なプレーから、“人間ブルドーザー”とも呼ばれた。(C)SOCCER DIGEST

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 プロ入りが決まったその日、横になった寮の2段ベッドの天井を見つめ、ガッツポーズを決め込んだことは、今でも昨日のことのように覚えている。夢にまで見たJリーグの舞台でプロキャリアを歩み始め、終焉を迎える頃には17年の時が立っていた。

 経歴を振り返れば、「叩き上げ」という言葉がふさわしい選手キャリア。東京都3部リーグから、Jリーグ、海外、そしてワールドカップのビッグステージまで踏んだ男は「自分で言うのも何ですが」と前置きしたうえで、「前人未到のキャリア」と称した。
 
「高校の時はプロなんて口が裂けても言えないぐらいでした。僕は育成年代のトップレベルとはかけ離れたところでプレーしていましたが、当時同じ年代でプロになり、まだプロを続けている選手はもういないでしょう。つくづく正解はないんだなと思います。

 ゴールを奪うことだけに特化した型破りなFWとして、僕はそれを貫くことで自分のプレースタイルを他と差別化できたという自負があります。

 最後は東京1部リーグでしたが、それぐらいのカテゴリーでも大世みたいな才能が眠っているんだと、強化の方々にそういった意識を芽生えさせたんじゃないかなと思います。トップとはかけ離れた位置にいる選手の潜在能力が見いだされる道を、作ったんじゃないかと自負しています」
 
 まさに“フロンティア”(開拓者)としての意地。ゴールですべての道を切り拓いてきた鄭大世は、日本サッカー界に確かな爪痕を残し、惜しまれつつも、プロサッカー選手としてのキャリアを終えた。

取材・文●郡司 聡(フリーライター)
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