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【アナリスト戦術記】森保Jがシステムを変えた狙いとは? W杯本番を見据えて確認できたこと、調整が必要なこと

カテゴリ:連載・コラム

杉崎健

2022年10月06日

ボランチが前に出る守備があまりできずに後退

エクアドル戦は0-0の引き分け。終了間際の伊東のFW起用は、11月のカナダ戦でもテストされるか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 アメリカが後半はメンバーとシステムを変え、1-3-2-5で来たのである。48分のように奪えたシーンもあったし、50分のように突破されたシーンもあった。総じて後半は相手にボールを持たれたものの、ドイツとの本番を考えれば、良いシミュレーションになったのではないか。当然ながらドイツはアメリカより質も上がる。より緻密に練らなければ突破されるケースは増えるだろう。

 ただ、各シーンを分析しているはずだし、特に中央を使われないためには日本のダブルボランチのポジショニングと守備強度が求められることは再確認したはずだ。

 また、守り切るために原口元気を右のウイングバックに入れる5バックをも試して守備の強化を図りながら、その直後に1-5-2-3の変更から生まれる相手とのギャップを使って三笘薫がゴールを決めるなど、収穫は多かったように思う。

 ここで取り上げ切れない事象は、冨安健洋の右サイドバックや攻撃の左サイドのローテーションなど多数あるが、テストマッチの位置付けの内容としては良かったのではないか。

 一方のエクアドル戦は、メンバーが全員入れ替わったなかで、システムを変えずにスタートした。これの理由はおそらく冒頭と同じで、W杯の対戦国を考えてのもの。エクアドルのビルドアップは、メンデスが下りて後ろを3枚にする形が多かった。これに対して日本は、アメリカ戦に比べてボランチが前に出る守備があまりできずに後退してしまった。12分や58分のシーンがそれである。

 もう1つ気になるのは、最終ラインの設定と、自陣守備からの押し上げだ。これはアメリカ戦でも森保一監督はテクニカルエリアから指示を出したシーンもあったし、エクアドル戦も例えば61分のシーンはラインの押し上げが遅い印象を受けた。これが遅いとサンドバックのような状態となりかねないし、まして大国が相手ならなおさらである。微調整は必要だろう。

 ラインが低い状態で守備をし続ければ、PKを与えたシーンのように1本の縦パスで窮地に立たされることがある。どんなシステムであっても、ボールが下がった後のラインアップはできる。90分間、これを続けられるかは課題を突きつけられた格好だった。
 
 ただテストマッチであり、課題が出ることは良い点だと思う。その一方で、この試合でも試したことはある。1-5-3-2と、2トップの一角に伊東を据える形だ。

 もし苦悩の末に伊東がFWとして起用できるとの算段を立てたかったのならば、中盤をダイヤモンド型にする1-4-3-1-2も頭にあるのかもしれない。これは冒頭の対大国を考えた時の1つの解になり得ると考える。

 1-4-3-3では3センターハーフが戻ると中央は1トップしかいなくなり、相手のアンカーやボランチ、センターバックを抑えにくくなるが、ダイヤモンド型であればそれは解決する。ところが、ウイングを主戦場とする伊東の場所がなくなる。そこで、最後の5分を使って上記システムで伊東を最前線で使うとどうなるかを見たかったのではないか。

 少し時間が短すぎて現象はあまり起こらなかったが、カナダ戦でも行なうのかは注目して見てみたい。
 
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