森保監督は複数のシステムを構築しているはず
エクアドルは開催国カタールと同じグループAに入った。そのほか、欧州の強豪オランダ、アフリカ最強との呼び声もあるセネガルと同居。もちろんW杯なので簡単ではないが、日本のE組を含む8グループ全体の中では恵まれている。おそらくそうした事情もあり、名門ボカ・ジュニアーズを率いていたグスタボ・アルファロ監督は、自分たちからアクションを起こす攻撃を構築していると考えられる。
実際、日本戦の前にはポゼッション能力の高いサウジアラビアを相手に、ボール保持率で大きく上回る戦いを見せていた。結果はスコアレスだったので、前日会見ではエクアドルのメディアから批判的な質問も出ていたが、これまでエクアドルに持たれていた印象とは違うスタイルに危惧するところはあった。
エクアドルのビルドアップは4バックの4枚回しと、俗に”サリーダ“と呼ばれるボランチがCBの間に落ちて、SBを高い位置に上げる3枚回しを使い分ける形。これ自体は4バックを使う多くのチームに見られる攻撃戦術だ。
日本は4-4-2のコンパクトな守備から、3枚回しに対してはサイドハーフの1人が中に入り、南野拓実が一列落ちたところでボランチを見るなど、チームでの約束事は共有されてきている。しかし、ここで大きな問題を与えたのが、サイドにおける”ローリング“だった。
実際、日本戦の前にはポゼッション能力の高いサウジアラビアを相手に、ボール保持率で大きく上回る戦いを見せていた。結果はスコアレスだったので、前日会見ではエクアドルのメディアから批判的な質問も出ていたが、これまでエクアドルに持たれていた印象とは違うスタイルに危惧するところはあった。
エクアドルのビルドアップは4バックの4枚回しと、俗に”サリーダ“と呼ばれるボランチがCBの間に落ちて、SBを高い位置に上げる3枚回しを使い分ける形。これ自体は4バックを使う多くのチームに見られる攻撃戦術だ。
日本は4-4-2のコンパクトな守備から、3枚回しに対してはサイドハーフの1人が中に入り、南野拓実が一列落ちたところでボランチを見るなど、チームでの約束事は共有されてきている。しかし、ここで大きな問題を与えたのが、サイドにおける”ローリング“だった。
右に展開すれば、ウイングのアンヘル・メナとSBのバイロン・カスティージョに、中盤のホセ・シフエンテスが加わってトライアングルを作るのだが、この3枚がかなり自在にポジションを入れ替え、フリーでボールを持った瞬間に縦のギアを上げてきた。
そうした攻撃に対して三笘と長友佑都に加えて、田中もワイドに開いて参加したが、どうしてもリアクションになるため、エクアドルの素早いポジションチェンジに対応できず、中にボールを入れられてしまう。
その時に、4-2-3-1の弱点である、1人のボランチがワイドに引っ張られた時の中央のフィルター問題が生じた。しかも、残っているのは明らかにアンカータイプではない柴崎だ。
これを逆サイドからもやられたが、それに乗じて右SBのカスティージョが斜めに飛び出してくるなど、非常に厄介だった。要するに4-2-3-1とのかみ合わせが良くなかったのだ。
少なくとも日本の4-2-3-1は、高い位置でボールを取れてこその部分もある。それができない流れで、早めに4-1-4-1にチェンジして、後半の頭から遠藤を投入するような形も有効だったのではないか。
ここは森保監督が手の内を隠している可能性もあるので何とも言えないが、こうした状況にも臨機応変に戦っていくために複数のシステムを構築しているはず。前半はなんとか無失点に終わり、後半はエクアドルが前半ほど強度の高い攻めをしてこなかったのもあり、失点という形で弱点は露呈しなかった。
今回のエクアドルはドイツ、コスタリカよりもスペインに似たところがあるチームで、1試合目、2試合目のシミュレーションとは別に参考になる点があった。
今回出た課題をどう検証して、2か月を切った本大会に向けてブラッシュアップできるか。選手の誰が良かった・悪かったという評価だけではない部分の詰めも問われてくる。
取材・文●河治良幸
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そうした攻撃に対して三笘と長友佑都に加えて、田中もワイドに開いて参加したが、どうしてもリアクションになるため、エクアドルの素早いポジションチェンジに対応できず、中にボールを入れられてしまう。
その時に、4-2-3-1の弱点である、1人のボランチがワイドに引っ張られた時の中央のフィルター問題が生じた。しかも、残っているのは明らかにアンカータイプではない柴崎だ。
これを逆サイドからもやられたが、それに乗じて右SBのカスティージョが斜めに飛び出してくるなど、非常に厄介だった。要するに4-2-3-1とのかみ合わせが良くなかったのだ。
少なくとも日本の4-2-3-1は、高い位置でボールを取れてこその部分もある。それができない流れで、早めに4-1-4-1にチェンジして、後半の頭から遠藤を投入するような形も有効だったのではないか。
ここは森保監督が手の内を隠している可能性もあるので何とも言えないが、こうした状況にも臨機応変に戦っていくために複数のシステムを構築しているはず。前半はなんとか無失点に終わり、後半はエクアドルが前半ほど強度の高い攻めをしてこなかったのもあり、失点という形で弱点は露呈しなかった。
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