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判断力や決定力を批判され、ジダンには冷遇…ヴィニシウスが“成長を待ってくれない”マドリーで見せた驚異の進化【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

エル・パイス紙

2022年09月21日

批判と偏見、成長するに適さない環境を克服した

カタールW杯ではエースのネイマール(左)とともにブラジル代表での活躍が期待されている。(C) Getty Images

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 愚鈍さを露呈すれば、先天的な問題と見なされ、逆に良いプレーを見せれば、単なる偶然と片づけられた。適切な判断力に欠け、決定力が不足。多士済々なベテランが知恵を結集して、絶妙なハーモニーを奏でるマドリーのチームカラーには馴染まない。それが、昨シーズンが開幕した時点でのヴィニシウスへの大方の見方だった。

 成長を期待する声もあったが、それ以上に疑心暗鬼が広がっていた。申し訳程度にしか戦力として活用しないジネディーヌ・ジダン前監督の起用法もそんな悲観論を後押しした。

 あれから一年。まるで一世紀が経過したように、この1年間、ヴィニシウスは急成長を遂げた。今や世界で最も刺激的な選手のひとりであり、その成長スピードは、マドリーはもちろん世界のサッカーを見渡しても類を見ない。しかも彼が素晴らしいのは、批判や誹謗中傷を浴びる中でも、常に大胆不敵さを失わずに努力を続け、予想を大きく上回る成長を見せている点にある。
 
 確かに加入当初から優れた資質を垣間見せていた。しかしこれほどの成長曲線を描くと予想するのは困難だった。走り出したらノンストップで、巧みで多彩なドリブルを持ち、判断が的確で、カリム・ベンゼマと息の合ったプレーを披露。ゴールを量産し、そのプレーからは成功したいという欲望から派生するエネルギーに満ち溢れている。

 ヴィニシウスは決してくじけなかった。批判と偏見、成長するに適さない環境を克服した。マドリーは要求度が半端なく高いクラブだ。若手が成長するのを待ってはくれない。しかしヴィニシウスは別だった。もはやネイマールの再来云々を論じる選手ではない。ヴィニシウスはすでにその存在自体がファンタスティックな選手なのだ。

文●サンティアゴ・セグロラ(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

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