朴監督は試合を振り返り、「前半は、プラン通りに連動して奪い、シンプルにゴールを目ざすことができた。ああいうアグレッシブなサッカーをしていきたいが、時間帯によって違う戦い方もできなければ」と述べた。３ゴールを挙げての今季公式戦初勝利にも、指揮官がほとんど喜びを見せなかったのは、１点差に詰め寄られた試合内容からだろうか。

　昨季は多くなかった複数失点。とくに両チームの選手交代、千葉Lの戦術変更などが重なった試合終盤は、陣形が間延びし、自陣に押し込まれ、２点目を決められた。ただ結果を見れば、開幕戦を勝利で飾ったということもあり、選手たちからは課題のなかにも手応えを感じる声が聞かれた。

「今日のように前から（プレスを）かけたほうが、得点チャンスも多いと思う。そういうサッカーをやりながら、もう少し失点を減らしていきたいなという感じです」とは、ディフェンスリーダー三宅史織の言葉。前に人数をかけることで守備の枚数を減らされ、DFとしては負担が増えるはず。だがチームトータルとしてのバランスを考えたときに、今の方向性は間違っていないと考えているようだ。
 

　中国・唐の皇帝である太宗と臣下の間で交わされた「創業（草創）と守成はどちらが難しいか」という議論は、故事成語（中国の昔の出来事からできた言葉）の「創業守成（創業は易く守成は難し）」を生み、今に伝わる。

　I神戸にとっての今季は、女王の座を守る、いわば「守成」と向き合うシーズンになる。昨季同様にライバルとの競争があり、自分たち自身との戦いの部分では、ハードルがさらに高くなるはず。そこを乗り越え、11チーム中、唯一目ざせる連覇に向けて、これからどう成長していくだろうか。

取材・文●西森彰（フリーライター）

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