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現地紙コラムニストが綴る――武藤嘉紀のブンデス挑戦記「覚醒した“ベストパートナー”マッリとの良き関係性」

カテゴリ:ワールド

ラインハルト・レーベルク

2015年09月23日

ついに覚醒!! 信心深く、ストイックな未来のトルコ代表エース。

ゲームを作り、チャンスとゴールを量産する攻撃のスペシャリスト。今後、ますます他クラブからの引き合いは多くなるのではないだろうか。写真はシャルケ戦のゴール。 (C) Getty Images

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 ここまで辿り着くまでには、長い道のりがあった。
 
 マッリは信仰深いイスラム教信者で、夏の休暇にメッカへ巡礼したこともある。生活ぶりは非常に真面目で、アルコールはいっさい口にしない。喋ることが好きではなく、公での言動は避けている。まるで僧侶のような“静けさ”を醸しだしているのだ。
 
 この“感情に欠ける”面が、長い間、マッリにブレーキをかけていたのも事実である。
 
 そこでトゥヘルは、マッリを守備的MFに置いて、ツヴァイカンプ(1対1)での激しさを身につけさせようとした。ある時は中盤のサイドに置いて、ランニングコースを学習させようとした。またある時には、ウイングに起用して、攻撃における1対1で必要となるハードさを教えようとした。
 
 そして今、ついにマッリは爆発した。ゴールの予感を漂わせる10番、ドリブラー、パッサーとして――。
 
 3週間前に結婚したばかりのマッリ。ストイックな彼のプレースタイルは、かつてフランクフルトとドルトムントでプレーしたアンディ・メラーを思い起こさせる。1990年のワールドカップ優勝メンバーであるメラーも、ボールを持った際には軽やかに相手ペナルティーエリアへ向かっていくテクニシャンだった。
 
 マインツの「M&M」、マッリと武藤は相性が良い。マインツの守備的秩序であるフラットな4-4-2において、CFとゲームメーカーは、相手のビルドアップの起点へプレスをかけに行かなければならない。
 
 その際、武藤はスプリントできるが、マッリの走りはどちらかというと緩慢である。だから監督のマルティン・シュミットは、マッリにはもっとアグレッシブになってほしいと願っている。しかし今のところ、武藤が2人分、プレスをかけてくれている。
 
 攻撃面では、互いが互いを補い合っている。武藤がウイングにずれると、マッリがトップに入る。ホッフェンハイム戦では、武藤が左サイドでドリブルし、フラットなパスをゴール前に送って、これをマッリが決めた。
 
 武藤がセンターでパスを受けようとアピールすると、マッリがハーフウェーラインでボールを奪う。武藤がオフサイドラインでコンビネーションのチャンスをうかがっていると、マッリがワンツーのパートナーとして出てくる。
 
 そして、武藤がCB2人を引きつけると、マッリがフリースペースを使ってフィニッシュする。ホッフェンハイム戦での2点目、“夢のゴール”のように……。武藤は今シーズン、すでに2得点しているが、マッリの2得点をアシストしている。
 
「M&M」が魅了しているのは、マインツのファンたちだけではない。

 トルコ代表のファティフ・テリム監督は今、マッリに打診している。「これからはトルコ代表として、大きな大会に出ないか?」と。
 
文:ラインハルト・レーベルク 「マインツァー・アルゲマイネ新聞」コラムニスト
翻訳:円賀貴子
 
Reinhard REHBERG
ラインハルト・レーベルク/「ライン新聞」で1987年から27年にわたってマインツの番記者を務める。現在はフリーで、「マインツァー・アルゲマイネ新聞」のコラムニストを務める一方、監督業を志す指導者に向けたコーチングも行なっている。マインツ出身、57年7月30日生まれ。
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