【山形】J1生き残りを賭けた「勝負の1週間」。最大の近道はシンプルに貫くこと。

カテゴリ:Jリーグ

嶋 守生

2015年09月19日

「ひとつ勝てば間違いなく流れは変わる」(渡辺)

ディエゴとともに山形の攻撃の主軸となるR・フランク。彼のキープ力が攻撃のアクセントになる。(C) SOCCER DIGEST

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 もちろん拠り所となるベースを貫き通すという考え方は、決して間違いではないだろう。実力的に劣るチームが、ひとつの戦術をJ1で通用するレベルにまで昇華させ、その武器をもって勝ちを拾いに行く。そうした一点突破型の考え方は、J1残留を目指す下位チームにとって生存戦略のひとつだろう。
 
 山形は初昇格した09年から3年間J1で戦ったことがあるが、その時の小林伸二体制でも、リトリートからブロックを敷いて守り相手の良さを徹底的に潰すというベースを貫いた。スタイルこそ違えど、今回も同じ方針で戦っていると言える。
 
 戦い方に迷いが無い以上、まず求められるのは「先の事は考えずに1試合1試合全力で戦う」(山岸)というシンプルな結論を徹底させることだが、そこから勝ちを拾うためには、よりディテールにこだわることが必要になるだろう。
 
  先の広島戦での1失点目の要因としては、「久しぶりの先制点で、下がらずに前に前に意識が行き過ぎた」(渡辺)というように、先制後にもチーム全体が前掛かりになって攻守のバランスをコントロールしきれなかったことが挙げられる。3失点目のカウンターも「PKを外した後だから失点したのではなく、CK時のカウンターへの対応が問題」(山岸)と、CK時に選手を残しきれていなかったことが要因にある。
 
すぐに力量の差を埋められるものではない。こういった課題に目を向けて、地道にサッカーを改善させることは決して忘れてはいけない。
 
幸いなことに、やるべき事が明確なだけに、チームは多少ピリピリしていても悲壮感は漂ってはいない。山岸は「皆が真面目だから、ひとつきっかけを与えれば取り組む姿勢が作れる」とその理由を話す。石崎監督の下で真摯に練習に取り組む雰囲気は、この2年で作られており、結果が出ていなくても前を向けているのは、明るい材料のひとつと言えるだろう。
 
「ひとつ勝てば間違いなく流れは変わる」と渡辺は話していた。最後の勝負に向けて迷いは無いはずだ。
 
 あとは自分たちのスタイルをブレずに貫き通すだけでなく、1試合ごとの精度をさらに高めて全力で戦い抜くこと。
 
 シンプルな答えだがこれがJ1残留の最大の近道だ。
 
文:嶋 守生
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